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浴槽の中で向かい合って座る。俺の首に両手を回し、上から覆いかぶさってくるウサギを支えながら受けとめた。
やけに積極的なウサギさんを不思議に思いつつ、もちろん喜んでされるがままだ。
ちゅ、と下唇に吸い付き離れてはすぐ戻って来る。緩く唇を開けばおずおずと遠慮がちに舌が入ってきた。
最初に比べれば上達したと思うキスも、まだ荒さが残っていて、けれどそれがウサギらしくていい。
不器用ながらも必死なそれに酔いしれる。
「……っふ…ぁ、リカちゃん…」
薄っすら開けた瞼の先には、強く目を閉じているウサギの顔があった。
施されるキスは、いつも自分がウサギに対してしているそれそのもの。俺が教えこんだキスの仕方を忠実に守り、無意識にしみ込んでいるのが堪らなくいい。
本当、とことん染まってくれてるのが嬉しい。
「仕事……しばらく休み、なんだよな?」
「1週間は休みとってるけど。それがどうかした?」
キスをやめたウサギが聞いてくる。それに答えればウサギは少し考えた後、首筋を舐め始めた。下から上へとぺろぺろと舐め、舌先で突く。
くすぐったさに笑い声が出そうになるのを耐えていると感じる唇の感触。
ウサギが何をしたいのかわかってしまった俺は、吸い付きやすいようにと反対側へと首を傾げる。
「余計なことしてんじゃねぇよ…」
面白くなさそうなウサギが呟く。バレバレ過ぎるその行動に気付かない方が無理だってのに、なんて可愛いんだろう。
「付いた?」
いつも見える所に痕を付けたがっていたウサギが頷く。
普段は絶対に出来ない行為も、仕事が休みだとなれば出来る。わざわざ確認した気遣いと、出来るとわかったらすぐに行動しちゃう幼さ。
大人と子供が入り混じるお前が俺だけのモノだと思うとゾクゾクした。
もっと大人になってほしい、けれど子供っぽいところも残っていてほしい。
「まぁ……どっちにしてもお前ならいいんだけどな」
自分自身に対し、呟いた俺にウサギは不思議そうな目を向けた。
「何が?」
「こっちの話。それより1つだけでいいのか?」
かなり強い力で吸われていたから、はっきりと付いたであろう痕。
なかなか上の部分に付けられたそれは、マフラーで隠さない限り丸見えだろう。もちろんこの束縛魔で我儘なウサギがそれをさせてくれるわけなどない。
「まだ付ける。こんなんじゃ足りない」
今度は先ほどとは少し離れたところに唇を当てる。けれど、それも確実に見える位置で、あからさますぎる独占欲に頬が緩んだ。
「慧君、好きなだけ付けてもいいけどさ…それ付けたのお前だってバレるけど大丈夫?」
「……別に。知らねぇヤツになんて思われてもいい」
付けたキスマークを舌で馴染ませていたウサギが答える。そんなことしてもいつかは消えるのにバカだなぁって気持ちと、一生消えなければいいという願望が合い交わった。
こんな痕1つでウサギが喜ぶならいくらでも受け入れてやるのに。
「なあ、噛んでいい?」
「噛む…ってそこまでする必要あるか?」
いいかと聞きながら、俺の答えを待たずにウサギが肌に歯を立てる。その頭を手のひらで包み、自分から押し当てた。噛みやすいよう後頭部を支えてやる。
「いいよ。好きなようにどうぞ」
「い…ひゃいと思う」
「だからいいって。でも一気にいってくれたら助かるかな」
訪れない痛みに焦れて、ウサギの頭を押してみた。躊躇っていたウサギがゆっくり歯を立てる。一気にって言ったのに迷っているのか力が弱く、地味に痛い。
グッと引けば肌に歯がめり込んだのを感じた。ツンとした痛みに唸った声が出て、それに驚いたウサギが身体を退く。
じんじんと熱い首筋。思ったよりも深く傷つけてしまったのか、泣きそうになったウサギを抱きしめる。
「…ごめん。血出てるし痛そう」
「だろうな。まだ熱いもん」
きっとウサギが本物のウサギさんなら尻尾も耳も垂らしてしょんぼりしてるんだろう。
申し訳なさそうな顔を両手で挟み、上げさせる。ちゅっと吸い付いた唇から微かに血の味がした。
「これで旅行中に迷っても安心だな。首輪代わりになってちょうどいい」
泣きそうな顔が一瞬にして嬉しそうに笑った。また重なった唇からはもう血の味はしない。その代わりに甘くて蕩ける蜜の味がする。
慧君だけがくれる甘い蜜を求めながら、さらに深く舌を絡ませ、やがてそれは離れる。
付いた赤い痕と真新しい歯形を、指でなぞったウサギが言った一言。
なんの意識もせず言ったであろう、その言葉がとても嬉しい。
「俺のもの。俺だけのリカちゃん……、俺だけの理佳」
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