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生意気な目が好きで、その中に隠された本音を暴くのに必死だった。
寂しい、甘えたい、構ってほしい、置いていかないで。
いつも傍にいてほしい。
心の奥底を知れば知るほどに手放せなくなる。
けれど手放さなきゃいけない。
幸せを奪ったのは自分なのだから求めてはいけない。
見合う自分じゃないのだから隣にいてはいけない。
してはいけない事だらけで嫌になる。
それなのにお前は俺を許してくれる。
バカじゃないのかと笑ってくれる。
名前を呼んで振り向いてくれる。
してくれる事がたくさんで嬉しくなる。
何かをしてあげたい。その気持ちが独り歩きして『全てを叶えなければいけない』に変わった時。
苦しくて…ただ苦しくて、息もできないほど自分を追いこんだ。偽りの自分を褒められれば褒められるほど本当がわからなくなった。
特別だと思われたい自分を捨て
気付かないフリを続ける自分と別れ
自身の価値を蔑む自分を叱咤する
変化を怖がる自分を奮い立たせ、そして。
『完璧』になれない自分を受け入れる。
格好つけるのも見栄を張るのも悪い事じゃない。
好かれたいから。想い続けてほしいから。それも一種の愛だと思う。
片思い 両思い 失恋。嫉妬に束縛、独占欲。
狡さ あざとさ 嘘に本音。
知られたくないたくさんの思いを隠し、試したり試されたり、焦がれて追いかけて…待って、待って、いつまでも待ち続ける。
声にならない声を上げて君を待つ。
きっと誰かを思うことは綺麗事だけじゃすまない。
楽しいことと同じぐらい辛いことも切ないこともある。
それでもやっぱり人は誰しも恋をする。
傷つきたくない、悲しみたくないと願う一方で止められない想いを抱く。
こうして今も君に夢中な俺のように。
「そう言えば兎丸に言っておかなきゃいけない事があったんだった」
ウサギの手を握ると、とても温かかった。
人ってこんなに温かく、弱く、そして強いんだと教えてくれたのは年下で生徒の君。
ずっと求め続けた俺の生きる意味。そして愛する人。
学校、それも人通りのある廊下で手を取った俺をウサギがぎょっとした顔で見た。
背後では教室から出てきたやつらの声が聞こえる。
それなのにもう止まれない。この気持ちを抑えることはできない。
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