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部屋は違えど、同じ屋根の下にはリカちゃんのお父さんとお母さんがいる。
大きな声で話せないからか、いつもより近くに感じるリカちゃんの吐息。
呼吸する音さえ聞こえる距離で見上げた先には、微笑むそいつの姿がある。
「なんで笑ってんだよ」
笑われる意味がわからず問いかけると、その目尻の皺がまた増えた。
「いや、母さんの前での慧君を思い出したら笑えて」
「は?なんで?」
「珍しく緊張してるし、敬語使おうとして失敗してるし」
リカちゃんの言う通り、俺は今まで桜さんに対して敬語なんて使ってなかった。それは歩のお母さんっていう認識だったからで今は違う。
リカちゃんの恋人として会うと、どういう風に接していいかわからない。
「それなのにあのオッサンに対しては普通だから」
「オッサンって…父親をそんな風に言っていいのか?」
オッサンというよりは、オジサマが近いリカちゃんのお父さん。うちの父さんと違って明るく楽しい、いい人だと思う。
それなのにリカちゃんは「別に」と訂正する気はないらしい。
「俺の慧君に馴れ馴れしいクソ親父だから、呼び方なんてなんでもいい」
「俺の……本当は、そんなの思ってないくせに」
つい出てしまった言葉に内心焦った。こんな言い方じゃ責めてるみたいに聞こえてしまうんじゃないか、とリカちゃんを窺い見る。
俺の髪を弄っていたリカちゃんの手は止まらず、穏やかな表情も変わらない。
「……本当に俺のって思ってんの?」
恐る恐る問いかけると、瞬きをしたリカちゃんが俺を見る。
「思ってる。慧君は俺のもの、俺は慧君のもの、これ常識だから」
「じゃあなんで……っ、なんでもない」
お前のものって言うくせに嫉妬しないのは誰だよ。言えない言葉が喉の奥に引っかかり、痛い。
もしリカちゃんが俺の知らないやつと仲良くなって、そいつらと遊びに行くってなったら俺は嫌なのに。
なんとなく気まずいのは俺だけらしく、リカちゃんは俺の毛先を指に巻き付けて遊ぶのをやめない。それが癪に触って振り払うと、一瞬止まったリカちゃんの肩が揺れた。
どうしてだか声を殺して笑っている。
「慧君、どうしよう……ムラムラしてきた」
「はぁ?!」
「ちょっと触る」
「や、待てって!お前このタイミングでバカなのか?!」
なぜこの状況でそんな行動に出るのか。リカちゃんは俺が振り払った手を、上着の裾から中に入れてきて素肌を弄る。
追い出そうとする俺の手を上手く躱し、わき腹をなぞって首元に顔を埋めた。
チクッと軽い痛みと共に痕を残して、湿った舌でそれを馴染ませる。いつも通りのリカちゃんの行動はエスカレートし、非難しようとした俺の口に柔らかい何かが重なった。
リカちゃんの唇だ。丁度開いていたそこから中に入ってきた舌が歯列を割り、奥へと侵入してくる。
薄くて、少し長めのリカちゃんの舌。
上顎をなぞられると、ぞくぞくとしてしまうのもいつものこと。
「あっ……ふ、んうっ」
すぐに身体が熱く火照るのも、いつものこと。
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