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数十分して現れたリカちゃんは、今朝とは違いキチンと服を着て髪もセットしている……のだが。
濃いグレーのロングコートに髪は後ろで緩く結んで、少し太めの黒縁メガネ。
クソおしゃれな格好はやたらと目立つ。
そもそも背が高めで顔だっていいんだから、そんな小洒落た格好なんてしてくんじゃねぇよ。
それと一緒に歩かなきゃなんねぇ俺の気持ちを考えろ。
「あ、ウサギいた」
しかもウサギとか呼ぶから余計見られてんだよ。
爽やかに手なんか振って来んな。
お前今すっげぇ見られてんだからな。
そのお前に声かけられた俺も見られてんだからな?!
「なに睨んでんだよ。腹減りすぎてイライラしてんのか?」
「違ぇわ。てめぇが目立つからだろ」
「は?目立ちまくってるお前にだけは言われたくねぇんだけど」
お前と違ってカーキのモッズコートに黒のパンツという無難な格好をしてきた俺のどこが目立つってんだ。
余計睨みを利かせても、リカちゃんは平気そうに笑うだけだ。
「あぁ、無自覚で有名だったなお前」
「あ?何ワケわかんねぇ事言ってんだよ?」
「別に。それより買いたい本あるから付いて来て。あ、これ買う?」
「買わねぇ…けど、それよりなんで俺がお前に付き合わなきゃダメなんだよ」
俺の手から雑誌を抜き去ったリカちゃんは何も答えず俺の腕を握ったまま歩き出す。
1人で買いに行けばいいのに、なぜ俺も連れて行こうとするんだろう。
強い力でひきずられるように歩き、辿り着いたのは参考書のコーナーだった。
「このシリーズわかりやすいんだよなぁ…」
そう言って何冊かを手に取るリカちゃんに、そういやコイツこれでも教師だったな…と今さら思った。
リカちゃんほど教師らしくない教師は、そうそういないだろう。
現役だけあって参考書に詳しいのか、迷うことなく選んでいくリカちゃん。
でも手に取るのは担当の英語だけじゃなく数学に化学、古典や日本史と様々だ。
もしかして他の担当教師にパシられてんのか?
え、この俺様野郎が?ウケる。
「とりあえずこれぐらいでいいや。買ってくるからここで待ってろ」
俺はレジで会計をするリカちゃんの背中をニヤニヤしながら見た。
弱みを握ってやったかもしれない!これで俺の快適な1人の時間が戻ってくる!
そんな俺のささやかな望みは次の瞬間に吹き飛ぶ。
現実はそんなに甘くないと思い知る。
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