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もちろん英語の授業は出なかった。
昼休みも、5時間目も6時間目もサボってやった。
「なぁ慧ー…俺を慰めて」
「なんで」
帰りのHRが終わったのを見計らって教室に戻れば拓海が半泣きで座りこんでいた。
バイトの鬼の歩はすでに帰った後できっと拓海は俺を待っていたんだろう。
「なんかさぁ、リカちゃん先生にめっちゃ怒られたんだけど」
………は?今の俺にそれ言う?
「俺が予習してないのなんて、いつもの事なのにさぁ。
次もして来なかったら裸で吊るし上げるとか言われたんだよ…鬼だよ、鬼」
いや、さすがにそこまでは……言いそうだけど。
めちゃくちゃ笑って言いそうだけど、な。
「まぁ、ドンマイ」
「ってかリカちゃん先生、慧のこと探してたっぽいけど。
帰り際に兎丸は?て聞かれたからごまかしといたー」
「ナイス拓海」
スマホも完全に切ってたからな。
きっと電源つけたらLINEが来てんだろうけど…なんか今日はもう何も話したくない。
会ったら「桃って誰?」とか聞いちゃうに違いないから。
「ナイスな判断をした拓海に飯を奢ってやろう」
パアァァッと一瞬にして笑顔になる拓海を連れて学校を出る。その途中で鷹野とすれ違った。
「兎丸君って本当に生意気だよね」
「は?」
「大人しくしててくれれば可愛いのに…」
また嫌味を言われる。
悪いけど今の俺はお前に構ってられるほど余裕ねぇんだよ。
「テメェに可愛いと思われる方が嫌だ」
「そんな事言えるの今だけだからね」
「どういう意味だよ。マジでうぜぇ」
コイツもリカちゃんのことを好きなら俺に構ってる暇なんて無いのに。
当の本人は今夜は本命と会うんだから。
本命……いるんなら何で俺にキスなんてすんだよ。
遊び相手なら間に合ってんじゃねぇのかよ。
「チッ……」
自分で考えといてイライラするなんて、やってられない。
無意識に出てしまった舌打ちに拓海がこちらを向いた。
「慧、お前いつの間に鷹野と仲良くなったんだ?」
「あれが仲良く見えるんなら眼科行けよ」
首を傾げ不思議そうな拓海を放って俺は外へ出て行く。
「飯奢ってくれるって言ったくせに置いてくなよー!」
追いかけてくる拓海の後ろ、責めるような鷹野の視線がいやに気持ち悪かった。
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