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「あのー…」
何も答えない俺たちを訝しがって、お姉さんの方と思われる女の人が声をかけてくる。
その目はしっかりとリカちゃんをロックオンしていた。
「兄弟、に見えます?」
よそ行きのリカちゃんの声。
先生の時とはまた違う雰囲気に俺は目を瞬かせた。
「え、あの、」
「あぁ。もうこんなに混んでたんですね。
僕ら食べ終わったので、ここどうぞ」
そうきたか!
無視でも応えるでもなく上手く受け流すリカちゃん。
「え、いや、でもっ!」
そそくさとトレイを持ち上げ席を立ったリカちゃんの腕をお姉さんが掴んだ。
「手。離してくれます?」
「……あの、少しだけでもいいから」
「この子、僕の飼い主なんです。僕この子のヒモってやつなんで、そういうのはご主人様に聞いてもらえますか」
その言葉に3人が固まる。
もちろん俺と女の人の3人だ。
「ウサギ。行くぞ」
「あ、う、うん…」
リカちゃんに呼ばれ、思わず返事してしまったが…なんせ視線が痛い。
絶対コイツら変だと思われてる。
いい年した男が男のヒモなんてぶっ飛んだ話だ。
いつまでも刺さる視線を背中に感じながら、逃げるように俺はリカちゃんを追いかけた。
「なんだよさっきの!!」
店からだいぶ離れた所でやっとリカちゃんに追いついた。
「何ってナンパだろ?姉妹でとかよくやるよなぁ。大して可愛くもないくせに」
「ってそうじゃなくて!!飼い主とかヒモだとか…一体どんな躱し方だよ!!」
あんなの躱してない。躱すというより、むしろ…
「はっ。見たかよあの時の顔。カエルみてぇな顔して驚いてたよな」
「や、やっぱり……」
「人をからかうのって何でこんな楽しいんだろうな?」
……マジ性格悪い。
俺はしみじみと痛感したのだった。
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