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「とりあえず中に入れてくれるかしら?あたし寒くて凍えちゃいそうなの」
桃ちゃんをリビングのソファに座らせ、リカちゃんが淹れていたのを思い出しながらコーヒーを淹れようとした。
けれどリカちゃんみたいに上手く淹れられなくて、結局桃ちゃんが淹れてくれた。
青が桃ちゃん。黒が俺。
リカちゃん専用のマグカップを桃ちゃんですら使わせたくなかった…なんて重たいヤツだよ。
「ウサギちゃん。あたしはリカの友達だけどウサギちゃんも大切なの」
「うん…」
ゆっくりと、穏やかに話す桃ちゃん。
いつものおどけた桃ちゃんじゃない。
「リカは…自分が悪いとしか言ってくれないわ。
だから何があったのか教えてくれる?」
「俺は」
「大丈夫よ。あたしリカのことは嫌いになれないけど、殴ることは出来るから!」
桃ちゃんの優しさが染みる。
絶望の淵で手を差し伸べてくれる人がいるって幸せな事だと思った。
「俺、リカちゃんが好き。たった数日でって思われるかもしれないけど好きなんだ」
「そう…」
「リカちゃんが俺を生徒としか見れなくても、好きで好きで止められなくて…けど、俺がいるとリカちゃんを困らせるだけで…っ」
全て俺が我慢すればいい。
そうしたら全てうまくいく。
「でも、俺は…そんなに強くなれない…」
鷹野が怖い。リカちゃんを守りたい。助けてほしい。
でもそんな事リカちゃんにも桃ちゃんにも言えない。
理由も言わず、ただ泣き続ける俺の背中を桃ちゃんがそっと撫でる。
「なんで俺はリカちゃんの生徒なんだろ。なんでリカちゃんは俺の先生なんだろっ……。
生徒だからダメなら俺、今すぐ学校やめる。そしたらリカちゃんは俺を好きになってくれるのかな?」
こんな事、桃ちゃんに言っても仕方ないってわかってる。
桃ちゃんを困らせるだけだって事もわかってる。
けれど誰かに聞いてほしかったんだ。
「どうしたらリカちゃんは俺を好きになってくれるんだろ…」
「リカがそう言ったの?生徒だからダメって?」
小さく頷く俺の手を桃ちゃんがギュっと握ってくれる。
「ウサギちゃん。リカはウサギちゃんのことを好きじゃないって言った?」
「それは……」
生徒にしか見れないと言われた。普通の教師と生徒に戻ろうと言われた。
『好きじゃない』俺はそう言われたっけ?
覚えてない……けれど言われてなかったとしても同じことだ。
だってリカちゃんは、好きだと言った俺を拒絶したんだから。
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