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兄貴と離れたのが10年近く前。
別に疎遠になったとかではないが、特別近くもない。
兄弟なんてそんなもんだと思う。
慧を見つめる兄貴は全く知らない顔をする。
簡単に口にできない関係だからこそ兄貴は許される範囲全てで慧を構うんだろう。
まぁ…多いに兄貴の気分次第だけど。
「お前もさー。いいヤツ見つけろよ」
「俺の10コ下だと6歳だぞ」
「いや、俺の真似しなくていいから」
慧が食ってたパンを落とし、それを見た兄貴がため息をつく。
「あー…後でチョコでも食わすかな」
「チョコ持ち歩くとか女かよ」
「俺んじゃねぇよ。ウサギのエサだ」
2本目のタバコに火をつけた兄貴はソッポを向くが、その顔は少し赤い。
「マジで変わったよな…」
誰かの為に食いもしない菓子を持ち歩いたりするのも。
自分よりも他の誰かを優先するのも。
ちょっと俺には理解できないけれど、少し羨ましくも思った。
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