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「っつーか離せよっ」
掴まれたままの手を離そうと引くけれど、力を込めたはずなのにビクともしない。
「なん…なんだよ」
目の前の男は外行きの爽やかな笑顔を浮かべ俺を見下ろす。
「んー…味見しとこうかなって。あ、この場合は味見じゃなくて毒味?ま、どっちでもいいか」
「はぁ?」
次の瞬間、リカちゃんは引いた俺の指をパクンと口に含んだ。
甘噛みされた肌に触れるのは水っぽい何か。
それはリカちゃんの舌だ。
「やっばぁ………慧君の身体、甘いね」
「こっの………クソ変態!離せや!噛むな!!」
「甘噛みして強く吸っただけで騒ぐなよ」
「十分してんじゃねぇかよ!!」
放された手を即座に引き、ゴシゴシと服で拭う。
「お前なぁ…俺はばい菌か」
「ばい菌より悪い!時と場合を考えろや!!」
こいつら何やってんだと思われてるに違いない。
居心地の悪さから逃げるように足音荒く歩き出した。
「ということで、お菓子は1つまでな」
「どういうことだよ?!」
「これ以上お前が甘くなったら胸焼け起こす」
「アァ?!」
バカにはされるしお菓子は取り上げられるし、散々だ。
人を好き勝手振り回し、からかい弄んだリカちゃんはカゴに入っていたお菓子の箱を棚に戻す。
唯一残されたのはチョコ1箱だけ。
それも俺のお気に入りで1番好きなやつ。
「ウサギには長生きしてもらわないと俺1人になっちゃうだろ」
「…てめぇのが年上のくせに」
「それでも出来限り一緒にいたいんだよ」
レジのお姉さんが向けるピンク色の視線をガン無視する意地悪な恋人は、やっぱり抜け目がない。
余裕があって人を喜ばせる言葉を知っている大人だ。
買い終えた商品を手際よく袋に詰め…もちろん俺には持たせず全て自分で持ってしまう。
「なんか悔しい…」
「まだ言ってんのかよ……。
お前にはお菓子なんかよりもっと美味しいのあげるから。夜まで待てないなら帰ってすぐでも大歓迎」
「……………言ってろ変態野郎」
なんだかんだ言いながらも俺をちゃんと見ていてくれることが嬉しい……ことはない、こともない。
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