アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
412
-
リカちゃんの後をついて中に入る。
全体的に薄暗いけれど、思っていたより綺麗だった。
腐ってると噂だった床も全然普通。
試しに強く踏みしめてもビクともしない。
「……何してんの?」
何度も地面を踏みしめる俺を、呆れたような冷めた目でリカちゃんが見る。
「いや、全然腐ってねぇなぁと思って」
「当たり前だろ。
腐ったコンクリートがあるなら見てみたい」
……その通りだ。
なんで腐ってるなんて思ったんだろう。
あれは、確か。
「旧校舎には近づいてはいけない。
床は腐ってるし虫が出る」
そう、それだ。
「…なーんてバカな噂、本当に信じると思わなかったんだけどなぁ」
「え?」
「あの噂、流したの俺だから。
まぁ元々あんまり人が寄り付いてなかったけどみたいだけどな」
ククッと口角を上げて笑うその顔は凶悪。
まさしく確信犯で何かを計画しているらしい。
…なんで俺は簡単について来たんだろう。
「なぁ…ここに何があんの?」
「何がって特に何も無いけど」
「絶対嘘だ!!その顔は嘘だ!」
「だから嘘は吐かないって言ってるだろ。
それよりも、いきなり叫ぶなよ頭に響く」
こめかみを押さえ、嫌そうにするその顔。
一体この先に何があるんだろう。
リカちゃんがようやく立ち止まったのは、ある教室の扉の前だった。
手をかけ、躊躇うことなく扉を開ける。
そこにはー……
本当に何も無かった。
黒板も、教卓も、机も椅子も無い。
白い壁に白い天井。木張りの床に薄ベージュ色のカーテンが掛かった窓。
ただの広い静かな部屋だった。
「ほら何も無いって言っただろ?」
振り返るその顔に、俺は言葉も出ない。
リカちゃんの考えてることが全くわからない。
「ここは俺の秘密基地なんだよ。
今からは『2人の』に変わったけどな」
ふっと嬉しそうに笑う。
その真意が本当に全くもって理解できなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
412 / 1234