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季節は少し過ぎ夏休みがやってきた。
歩や拓海と遊んだり課題をしたり…そうやって毎日を過ごす。
夏休みとはいえ、リカちゃんは仕事があるから家にいない。
いつも一緒だったのが急に減った2人の時間。
別に寂しい、とかは思ってない…けど。
「慧。お前、真夏なのに熱いの飲む気か?」
拓海に指摘された俺の手元にはマグカップ。
ラインの色は黒だ。
「飲むかよ。中は水だっつーの」
「なんでグラスじゃねぇの?」
「……うっせぇ。お前は早く自分のとこ終わらせろよ」
俺は、拓海と歩と3人で分担して課題をしていた。
自分のところが終わってない拓海を急かし、マグに口をつける。
「……黒、ねぇ」
「なんだよ」
「誰かさんの好きな色だなぁって。
相変わらずバカップル爆発してんのな」
「…っ!!」
ニヤニヤしている歩にからかわれ、俺は顔をそらす。
その視線の先には必死に教科書と向き合う拓海がいる。
「あと何時間かしたら帰ってくんだろ」
「……5時間も後だし」
「帰宅時間まで把握してるのかよ。
お前マジで束縛すげぇな。俺なら無理だわー」
「俺も無理。歩みたいな何考えてるかわかんなくて、性格の悪いやつ絶対に嫌だ」
「言っとくけど俺より兄貴の方が何考えてるかわかんねぇし性格もヤバいからな。
あいつ怒らすことだけは絶対にすんなよ」
……その通りだから何も言い返せない。
こんな話をしていたら余計にリカちゃんに会いたくなる。
なんでこんな風になっちゃったんだろう。
本人には言えないけれど心の中ではいつも考えてる。
最近の俺はちょっと…かなり、リカちゃんに依存し過ぎてる。
ブブッ……歩のスマホがメッセージの着信を告げ、それを見た歩がフッと笑う。
きっと相手は桃ちゃんだ。
「桃ちゃんなんて?」
「んー…。定時に終われそうだって。別に約束してねぇから『お疲れ様』だけ返した」
それはデートの誘いだろう。それなのに歩の反応はかなりクールだ。
「あの人、誘ってほしいのバレバレだろ。
遠回しに言ってねぇで素直になればいいのに…」
「わかってんなら誘ってやれよ」
「バカだな慧は。ソワソワしながら誘えずに悶えてんの想像したら笑えるだろ?
もっと俺の事だけ考えときゃいいんだよ」
それっきりスマホを触らない歩。
何度かバイブ音がしたのに一切見ようともしない。
俺は少しだけ桃ちゃんが不憫だと思ってしまった。
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