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「とりあえず中入れば?」
リカちゃんに促され、部屋へと進む。
部屋の真ん中に置かれた大きなソファー。
それに向かってリカちゃんがいきなりダイブした。
リカちゃんらしくない行動に驚いている俺をよそに、ポケットからタバコを取り出し火を点ける。
「寝転んで吸ったら危ねぇだろ」
「あー、んー……気抜けたら眠気どっと来た」
さっきまで何ともなかったのに、いきなりの変わりよう。ダルそうに身体を起こしたリカちゃんが自分の隣を叩き俺を呼ぶ。
ここに座れって合図なんだろう。
言われた通り隣に座れば、リカちゃんは身体を寄せて距離をつめてくる。
そして俺の肩に頭を預け「ハァ」と吐息を零した。
「なんでそんな疲れてんの?」
「んー…慧君の為」
俺の為?ってなんだろう。
不思議に思ってリカちゃんを見ると、目と目が合って次の瞬間に唇が重なる。
数日ぶりの本物のキス。
画面とは違う柔らかくて温かいキス。
けれどすぐに離れていってしまう。
「あ、悪い。タバコ吸ってたの忘れてた」
ただ一瞬合わせただけなのに、この気遣い。
意地悪なのか優しいのかわからない絶妙なバランス。
だから次がほしくなる。
「リカちゃん、もっと」
でもきっとリカちゃんの返事は決まってる。
「駄目」
ほらな。
「ケチ」
「じゃなくて大事にしてんの」
それはわかってる…けど。こんなんじゃ足りない。
ずっとリカちゃん不足で死にそうだったのに。今、目の前にいて触れるのに。
「リカちゃんシックなんだから、たまにはいいだろ」
「そんな可愛いこと言っても駄目なもんは駄目」
フウっと煙を吐いて宙を見つめる。
もちろんソレは俺と反対の方に向かって。
気が抜けたって言ったくせに、こういうところが抜け目無いなと思った。
何から何まで完璧で近づき難いのに気づけば隣にいる。
でも肝心なところは絶対に掴ませない。
リカちゃんって俺が知ってるヤツの中で1番不思議なヤツだ。
「それより俺に聞きたいことあんだろ?」
タバコを消した後、また俺にもたれる。
今度はもっと深く埋まるように。
リカちゃんに聞きたいことはたくさんある。
でも、その中でも1番知りたいのは…
「なんでここにリカちゃんがいんの?」
これに決まっている。
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