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お盆が終わり、もう少しで学校が始まる。
俺たちはいつもの3人で修学旅行の為の買い物に行こうとしていた。
駅前の広場で待っていれば数分して拓海が走ってくる。このクソ暑いのによく走れるよな…と思った。
「慧お待たせーっ!!歩はやっぱり遅刻?」
「あぁ。そもそもアイツが時間通り来るわけねぇよ。どっかで時間潰して待ってればいいだろ」
いつも遅れてくる歩のことだ。どうせあと30分は来ないだろうと拓海と近くのカフェへ向かう。
1歩踏み出した俺の服の裾を誰かが掴んだ。
その手の先にあるのはデニムのシャツに身を包み、黒いパンツを履いた男。
派手な金髪が印象的だが、俺の知り合いにこんなヤンキー丸出しの男はいない。
俺も拓海も髪を染めてるけれどここまで明るい髪色は絶対にしない。
金髪にするなんて絶対に自分の事をイケメンだと思ってる自信家に違いない…ってのは俺の勝手な考えだけど。
「なに?」
年上か下かもわからないソイツに声をかける。俯いたまま顔を上げないソイツは何も答えない。
「なんなの?」
一体何がしたいんだと苛立つ俺越しにソイツを見た拓海が声を上げた。
「歩いんじゃん!」
は?歩…ってこの金髪野郎が?んなわけあるか。
歩と言えば外見にあんまりこだわり無くて、それなのにイケメンとか言われるヤツ。
あの面倒くさがりで自分の事にも無関心な歩が金髪なんてありえない。
……はずだった。
「………はよ」
ゆっくりと顔を上げたのは見間違うことのない悪友。
いつも通りの無表情で、いつもと違う目立ちまくる髪。
「なんだよ。あんま見んな」
不機嫌そうに眉を顰め、こちらを睨みつけてくる。
「見んなってその方が無理だろ。なんで急に金髪?」
「…………気分」
どんな気分だよ。
黙ったまま見つめる俺を見た歩がハァとため息をつき立ち上がる。
「行くんだろ?」
「あぁ……うん」
「とりあえず腹減ったから何か食べに行こうぜーっ!」
堂々と歩く金髪とその隣を飛び跳ねてついていくチビ。
なんで金髪?でもってなんで拓海は驚いてねぇの?
まだ戸惑っている俺を歩が振り返る。
髪色は全然違うけれど、顔はやっぱり歩…って当たり前か。
「理由は今日にでもわかる。あの人が頼るのは…悔しいけどアイツ以外いねぇからな」
歩の言ったことは、本当になる。
それは夜にいきなりやって来た。
「リカァァァァ!!!!
あゆっ…歩ちゃんがグレちゃったわ!!」
叫び声を上げながら。
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