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「んぐっ!! ……えっ、えっ?!」
何が起きたのかわからずに戸惑う拓海。力技を見せた歩は、そのまま拓海の首を絞めていく。
「ちょっ苦しいってば!!!誰?!」
それでも声が出せるぐらいには、ちゃんと加減してるのが歩らしい。
ムスッとした無表情だけど心配してるんだなっていうのが伝わってくる。
拓海が歩の腕を叩き、それを合図に締めてた力を抜く。解放された拓海がよろめきながら後ろを振り返った。
「よぉ。うちの拓海ちゃんは授業サボってナニしてんのかなー?」
わざとふざけた声を出した歩に俺も続く。
「お前の所為で俺までサボり決定じゃねぇかよ。リカちゃんにバレたら、ちゃんと俺が理由ですって言えよ!」
元々大きな拓海の目。それが今は驚いたように見開いて瞬きを繰り返す。
「なにバレバレの隠し事してんの?この下手くそ」
「お前さっき俺に秘密は無いって言ったくせに。嘘ついたからジュース奢れ!」
「あ、えっと…これは、その……」
なんとかごまかそうとする拓海の鼻を摘まんだ。見開いていた目が今度はより目に変わる。
あまりにもその顔がバカっぽくて手を離せば鼻を摩りながら俺を睨んできた。
「拓海が言うなって言うならリカちゃんにも言わない。ってか誰にも言わない」
「というより他に友達いないしな」
「歩……お前それ自分で言ってて悲しくなんねぇの?」
拓海の言葉に歩がフンッと鼻で笑う。
「別に。俺どうでもいいヤツにまで愛想よくできねぇし」
「お前は誰にもできないだろ」
「それはお前も人のこと言えないだろ」
俺がツッコミを入れれば歩が返してくる。これはいつものパターンで、こうなった俺たちを止めるのは1人しかいない。
「もうケンカすんなって!!」
やっぱり拓海が俺たちの仲裁に入る。これもいつものパターンだ。
「なんで歩と慧はすぐ言い合うんだよ?!」
「なんでって拓海が俺ら放ってコソコソしてるからだろ。なぁ慧」
「そうだな。お前がいないと歩がすっげぇ寂しそうにしてて笑える」
「は?寂しそうなのは自分のくせに。人の所為にしてんじゃねぇよ」
「だから言い合うなってば!!」
大きな声を上げた拓海は今が授業中だってことを思い出して急いで口を押えた。そしてヘラッと笑う。
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