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決心が鈍らないうちにリカちゃんに話をしようと決めた。俺はすぐ嫌になるから明日になったらまた逃げちゃうかもしれない。
正直、頭の中が整理できてるかって言われたら微妙。けどどこか妙に冷静な自分がいる。
「兄貴が何時に帰ってくるか知ってんの?」
「知らない…っつーか家では話さない」
「は?なんでだよ。家の方が時間とれるだろ」
確かに帰ってからの方が時間はあるし誰かに見られる心配はない。でも、なんとなくリカちゃんは俺を家に入れてくれない気がした。
それを言ったら歩も黙ったから俺の予想は正しいんだと思う。
「んじゃ学校で…って聞かれたらマズくないか?」
「科目室なら大丈夫だと思う」
いつもリカちゃんがいる、リカちゃんしかいないあの部屋なら話ができる。そう思って科目室に向かうけど鍵がかかっていた。職員室も覗いてみたけどいない。
「いねぇじゃん」
「どこにいるんだろ…さっき見たらリカちゃん先生の車まだあったのに」
まだ帰っていないはずなのにリカちゃんはどこにもいない。副顧問をしてる生徒会にも、倉庫にも屋上にもいない。
「アイツどこ行ったんだよ」
「うーん…慧どっか心当たりないのか?」
一緒に探してくれていた歩も、そして拓海も。どこにも見当たらないリカちゃんに3人揃ってお手上げだった。
「わっかんねぇ。だってアイツ自由過ぎるんだもん」
俺がリカちゃんと学校で過ごすのは大半が科目室であとは屋上。そこにいないとなると見当なんてつかない。
疲れたのか歩が廊下の端に座り込む。頭を掻きながらダルそうに言った。
「お前兄貴とヤッたとこ思い出せよ」
「ヤッ…ってなんでそんな場所なんだよ!!」
「そこがアイツのテリトリーだからだろ。あの男が自分の縄張り以外でお前に手出すわけねぇもん」
リカちゃんと学校でそういうことをしたのは保健室と科目室だけ……あれ、待てよ。
「あった。もう一カ所残ってた」
「どこどこ?!」
「秘密基地。多分あそこだ」
そう思ったらそこしか頭に浮かばない。あの何もない、リカちゃんが俺と2人の秘密基地って言った場所。
近付いてはいけないあの場所で、何も考えたくない時に行くって言ってたあの部屋。俺が静かすぎて気持ち悪いと思ってたあの教室にリカちゃんはいるはずだ。
『俺に会いたい時はここにおいで』
きっとそこで俺を待ってる。
また待ってる。
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