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day1 ③
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「死ぬ…」
何回振り回されたのか。
そんなの分からないけどいつもの様に苦しい程キツく縛った状態で振り回され、目も周り、吐き気と衝撃で顔面蒼白になっているだろう。
ただでさえ酸素が足りないのにマスクを付けていると本当に窒息死しそうだが、手は縛られていて自身を助ける事も出来ない。
それに十四松はその程度のボヤきで練習を止めたりしないから、毎回僕はかなり窮地に立たされる。
でも、それが気持ち良くて。
自身で自分を助けられない、誰にも助けは求められず、尚且つ唯一助けられる存在は決して僕を見止めない。
助けを求めても、死にそうになっても。
その最高の瞬間を噛み締めて甘受するっていう自分のエゴの為に、まるで偽善者のように十四松のキツい練習相手を引き受けている。
そんな自分の奥底を見て改めてクズだと諦観するけどそれすらゾクゾクするから仕方がない。
「…うっ…おぇ」
視界が回って上手く歩けない。
十四松と別れ、目の前の家に帰宅するも、その足取りはかなり不確かだ。
目をあまり開かない事で視覚を出来るだけ遮断し、感覚で歩こうとするも何百と振り回された身体は平衡感覚を完全に失っている。
やはりマスク越しの酸素不足は想定以上に人体に辛いようで、壁にズルズルと凭れかかりながら僕は歩く事を放棄した。
吐き気が募って唾液で中の物を押し返す喉の動きに、思わずマスクを外して手で抑える。
毎度の事だけどしゃがみ込み狂うような辛さに耐えるのは絶え間無く快感が押し寄せるけど、決して心地よいとか生易しいものではない。
もがき苦しむ程、最早もがく事すら出来ない程。
どうともしようの無い悦楽の電流が躰を流れるからどうしようもなく気持ち良いんだ。
…だから、そんな自分はとても見られない姿になっている筈で。
「い、一松?どうした、、具合でも悪いのか?」
特に、クソ松になんて見られてはいけない筈、だったのに。
涙で潤ったぼやけた目で上を見ると、そこには驚いた顔でクソサングラスを外した兄が居た。
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