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悪夢の正体 2
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智哉がいきなり少し悲痛な叫びに近い声でそう言い、
そして俺の脇腹に腕を回してきつく抱きついてきた
その表紙で、智哉の目から再び涙がこぼれ落ちてきた。
そんな智哉を見て俺は心が痛かった。
いつもは特にこれといって、無邪気なところは全くなく、逆に一段とおとなしくて、
いつも落ちついてて、平然としてるのに今は、悪夢によって気を取り乱して、
日常からは想像もできないほど、今みたいになっているのだ。
「智哉?」
「やっ、い、かないで、ください、、やぁ…。」
智哉の目から、また、一粒涙がこぼれ落ちた。
そして、一粒涙を流したことによりまた、ボロボロと涙を流し始め、
体をこ気味に震え始めた。
「智哉大丈夫だから、俺は智哉から離れておいてったりしないから、
だから安心しろ、なっ。」
「うぅぅ…み、やさか、くっ…。」
「大丈夫、大丈夫だから…。」
そう言って俺は智哉の頭を撫でた。
「…く…ひくっ…うぅ…」
「大丈夫だから、智哉…。」
智哉は約五分くらいしてようやく泣き止んだ。
「智哉、もう大丈夫か?」
「な、とかだいじょう、ぶです。」
まだ多少、言葉がスラスラと言えてないが、さっきよりはだいぶいいと思った。
「…なぁ、智哉、また、聞くのもなんだけどさ、その、一体どんな夢を見たのか、
教えてほしんだ。」
「ッ!…。」
さっきと、同じ反応だ。
だけど涙は出ていなかった。
…やっぱ、聞けそうにないな。
にしても俺、しつこいよな。
さっきそれを聞いてたせいで、智哉はまた、取り乱してしまったのに俺は、
また聞こうとするなんてさ…。
「…やっぱ、言えるわけないよな、ってかさ、俺ってしつこいよな…なんかごめんな、
しつこくて。」
俺は自分にたいして自嘲笑しながら智哉にそう言った。
てゆうか俺、今ちゃんと笑えてたかな。
フッ……。
「…弥優加、くん、謝らないで、ください、それに、そんな泣きそうな顔を、
しないでください。」
「…えっ。」
やっぱ、俺、ちゃんとわらえてなかったんだ。
にしても、智哉、俺のことよく見てるんだな。
……智哉…。
「僕は、いつもみたいに元気で明るい、笑ってる弥優加くんの方が大好きです。」
ギュッ
智哉はそう言って、ヘニャッと頬を少し赤らめながら笑い、俺に優しく抱きついてきた。
そしたらなんかまた、涙が出そうになった。
だけど俺は涙をこらえた。
また涙を流すのは、なんだかみっともないと思ったから。
それに、智哉にこれ以上泣いてるところを見せたくなかったから。
にしても俺、智哉の前だと、ほんと弱いよな。
おれはそう、改めて思った。
「智哉…。」
俺が智哉の名前をいったら不思議と智哉が急にすっ、と、俺から離れてこういってきた。
「そういえば、弥優加君、本当はあまり言いたくなければ思いだしたくないんですが、
言います。僕の見た、夢、のことを…。」
…えっ、今、なんて…。
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