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心臓が痛い。
こんなの、こんなの卑怯だ。
最低。ほんと、最低だよお前。
「なん……っ、で、こんな…」
熱い涙が、頬をつたってぽたぽたと床にシミをつくってく。
こんなに悲しいのになんて言ったらいいのか分からなくて、俯いたら更に涙が溢れてきた。
痕なんか付けられなくても、俺はこの家に縛られたまま。寂しいと分かってながら、結局はここに帰ってくる。帰らなくちゃって、今度こそ家にいるかもって、期待してガッカリしての繰り返し。
「……おい。まき、」
「触んな……っ!」
そのたまに優しくするところ、なんなの。
普段俺のことなんか眼中にないみたいな顔してるくせに、こんな時だけ優しいの、ずるい。
どうしたらいいの、おれ。
ねぇ、
お前が彼女と家にいたら俺帰れないんだよ。
キスしてるの見たら胸が苦しくなって、泣きそうになるんだよ。
何でこんな気持ちにならなくちゃいけないの。
……なぁ、俺は、
「俺は…っ、どこにいればいい……?」
「は…?」
「「家にいろ」なんて…っ、おれ、ずっと家にいるのにお前、帰ってこないじゃん……っ、」
頭がおかしくなる。
寂しいなんて、悟られたくなかったのに。
「そのくせたまに帰ってきたと思ったら彼女連れ込んで……っ、「出ていけ」って言うくせに……!!」
あれ、どこの記憶だ、これ。
思い出してく。だんだん、昔のこと。
「…俺のっ、俺の帰るとこなんて用意されてないんだろ……ッ!!?」
最初から。
わかってたよ。
「お、おれのこと、嫌いなら言って……」
辛いな。
片想いって辛いよ。
辛くて苦しい。
こんなにも寂しいのに。まだ好きなんだ。
触れてほしくて呼んでほしくて、ずっと一緒にいることが出来たらなんて叶わないこと考えて。
バカバカしくて嫌になる。
お前なんて好きにならなきゃよかったよ。
いっそ嫌いになっちゃおうか。
……それが出来たら、俺はもうこの家に縛られずに済むのにな。
体、思いっきり押し退けてやろうと思ったのに、大声を出したせいか視界が大きく歪んで、そのうちプツンと途切れた。
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