アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
12
-
「もしもしぃ」
『なんでそいつがお前んとこにいる』
「第一声がそれか。まぁ成り行きで、な。」
『⋯⋯ふざけんな』
うっわぁガチおこやん。怖ァ⋯
「めちゃくちゃ可愛かったよ。残念やねぇ。もう終わっちゃった。」
『⋯何した』
「んー?」
『まきに、何した?』
ははっ。これ完全に殺しに来る声やん。
「いやね、ちょーっと慰めただけ。」
『ベッドの上で、か?』
「そーそー。りゅーくんがどっかの女と乳繰りあってる間にな。」
少しの間声が消えた。
フリーズしてんのか?こんな状況、すぐには受け入れられへんもんなぁ。
「待ち合わせすっぽかしたんやて?」
返事する間も与えず、質問を重ねる。
「まきまき雨ん中でずっと待ってたけど?なんなん、ずっと自分のもんでおってくれると思った?」
これを機に離れろ、と言わんばかりに、突き放す。
「⋯ちょっとは、本音聞いたことあるんか。」
『⋯は?』
まきまき、アルコールでも何でも使わんと本人には言われへん性格してるから。
「⋯⋯泣かしてんちゃうぞ。アホめ。」
言い残して、電話を切った。
そんで、目の前のすやすや気持ちよさそうに眠る顔を、起こさないようにそっと撫でる。
あんなヤツに渡したくない。「寂しい」とか、言わせたくない。
縛ってたネクタイを放って、瞼に唇を落とす。
このまま、ずっと俺の腕ん中で寝とけばええのになぁ。
さっきの電話、りゅーくん走ってたんか風の音した。
自分から突き放しといて、今更引き戻そうとするとかほんま意味わからん。
あんな奴のどこがいいんって、何回思ったやろか。
俺の横で、小さく寝息を立てて眠る体。
腕の中の体温が心地よくて、そこから5分ほどうたた寝してしまった。
起きたのは、インターホンの音のせい。
何回もピンポーンと音がして、上半身裸のまま目を擦って玄関へと向かう。
「はいはぁい⋯」
ガチャリと取っ手を傾けると、扉が開いた隙に指が入り込んで、勢いをつけて重たい扉が開かれる。
目の前におったんは、走ってきたんか息を荒らげて俺を睨みつけるりゅーくん。
「⋯⋯まきどこだ」
「寝てるけど?」
聞くやいなや、靴履いたまんま上がり込んでは俺を押しのけてずかずかと部屋に入っていく。こういう時だけ強引なん、気に食わん。
壊れるかと思うほど勢いよく部屋の戸を開けて、まきまきがおるベッドに向かう。それを俺は、後ろで、身体を壁にもたれさせながら見る。
そんなことも知らず、まだ幸せそうに寝てるまきまきを見て俺に一言放つ。
「服どこやった」
「洗濯機やけど。」
「⋯チッ」
「びしょ濡れやったからな。誰かのせいで。」
りゅーくんは黙って上着を脱いで、まきまきを無理矢理起こして素肌の上に羽織らせた。
「まき」
「ん⋯⋯、なに」
「帰んぞ」
「⋯⋯?だ、れ」
寝起きで意識が朦朧としてるまきまきを、無理矢理立たせて帰ろうとする。
「なに無責任なことしてんの?」
「あ?てめぇには関係ねぇだろ」
「雑に扱っといて今更なんなん?もういらんねんやろ、それ。」
そう。遊ぶ相手まだまだいっぱいおるやろ。
「⋯なぁ、いらんねんやったら俺にちょうだい。」
「⋯は?」
「俺の方が優しいやん?ほら、待ち合わせすっぽかしたりせぇへんし。な?」
⋯そう。お前みたいに、
「⋯浮気とかせぇへんし。」
「うるせぇよ」
「まきまきの気持ちぃとこも全部知ってるし?なんやったら証明したろか今ここで」
にこ、と笑って見せたら、薄暗い部屋で光る目が、ギロリと睨んでくるのが見えた。
「⋯⋯ふざけんなよ賛田」
「ふざけてないけど」
「どういうつもりだ。」
「りゅーくんまきまきのこと好きちゃうんやろ?一緒におる意味無いやんと思ってね。」
ピリピリした雰囲気で目が覚めたのか、まきまきは目を擦って、俺を見上げる。
「⋯⋯ん、さんた⋯?」
「おはよ。」
「⋯帰んぞまき。」
「え、あれ⋯?なんで、ここに」
目を見開いて、りゅーくんを見つめる。その後、自分の肩にかかった上着を見て頭の上にハテナマークを浮かべた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
125 / 219