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そこかしこにあるタオルや洗濯物を、鬼塚に向かって投げ付けた。
重量がない物を投げてもなんのダメージも与えられない、それどころかまだ俺に触れようと手を伸ばしてくる。
「も⋯⋯っ、やだって⋯っ!!やっ、」
「まき、」
「⋯っるさい!!来んな、入ってくんな!!」
涙を拭って、後ずさりながら投げ続ける。
棚にあったバスタオルを掴んで振り上げた瞬間、腕を掴まれ動きを封じられてしまった。
「⋯⋯な、んなの⋯っ、お前っ!!」
悔しい。こんなに何度も軽々と動きを止められる非力な自分が情けない。そして、結局は鬼塚の迫力に負けてしまう。
「俺なんか⋯っ、俺なんかほっとけばいいじゃんか!!
どうせお前にとって俺はいてもいなくてもいい存在なんだろ⋯っ!!?だったら⋯⋯お願いだから、一人にしてくれ⋯
俺は⋯お前の思ってる以上に弱い人間なんだよ⋯⋯」
肩の、全身の力が抜ける。顔見られたくなくて、ずっと俯いたままだ。
鬼塚、今どんな顔してるかな⋯⋯
「ごめん」
誰の声か、一瞬耳を疑った。
顔を上げて確かめようとしたら、急に体が引っ張られて気づくと鬼塚の胸の中にいた。
「⋯お、おに「ごめん。」
ごめん⋯?
「な、に、何が⋯っ、」
ちょっと、この状況なにがなんだかわかんないんだけど、
「⋯俺のこと嫌いか?」
「は⋯?」
「応えろ」
「さ⋯っ、さっき言ったし⋯」
ぎゅう、っと抱きしめる力が強くなる。
鬼塚のにおいに、体温に、低い声にドキドキして心臓が壊れそうで。
「⋯⋯俺は、」
耳元で鬼塚が呟く。それだけで脳みそがとろけそうで、思わず声が漏れそうになった。
「お前だけ⋯⋯どうすればいいのか、」
「へ⋯?」
途切れ途切れに言うから何を言っているのかわからなくて、胸板に押されながらも鬼塚の顔を見上げた。
「俺は⋯いろんな奴と散々なことしてきたけど、お前は⋯⋯
⋯お前だけは、どうすりゃいいのかわかんねえんだよ⋯」
そう言って、俺の首元に顔をうずめて、小さな声で呟く。
予想外の言葉にびっくりした俺は、数分間動くことが出来なかった。
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