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鬼塚 side
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「本当は私のこと好きじゃないでしょ。」
ある日、ベッドの上で女が言った。
「好きじゃないっていうか、興味もないんじゃない?」
俺は無言で答えた。
女の質問は、実に今更でくだらない、わかりきったことだったから。
問題なのは、この後の発言だった。
「ねぇ、あなた何から逃げてるの?」
逃げる?俺が?
「何が怖いの?」
怖くねぇよ。何も。
それからぱたりと記憶が途絶える。酒を飲んだ後だったし、俺にはどうでもいい事だ。
今となってはいつの事だったかも、女の顔さえ覚えていない。
手に入れられないのに、手放したくないもの。
俺が唯一怖いもの。
触れたら壊れて、砕けて、元通りにならなくなったなにかを、俺はまた探して手に入れようとしてる。
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