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「誰と誰のフラグを立てるの?」
「だから田丸君だって言ってんだろ他に選択肢あんのかよ」
「コヤマ落ち着いて!!喧嘩口調になってる!!」
「田丸君はかなりガード硬いと思うよ。佐々木君にはゆるゆるだけど私たちがなにかしたところで微動だにしないんじゃない?」
「佐々木君になりすまして手紙書けばいいんじゃ」
「いや、筆跡までは真似出来ないし多分バレると思うよ」
「田丸君何もの!?どんだけ佐々木君のこと好きなのまじでウチらのこと殺す気かよ!!」
「萌えるのは後にしてくれる?」
「鬼塚は?」
「⋯うーん。見てる分にはいいんだけどね。近づけないよね怖すぎて」
「だよねーわかる。私も無理だもん」
「ね、実際佐々木君が手紙書いて呼び出したとして、鬼塚は来るのかな?」
「⋯⋯え、わからん」
「どうなんだろう。けどさ、」
「来たら来たでめちゃくちゃ⋯」
想像し、ここにいる全員両手で顔を覆う。多分同じ表情をしている。
「わかる⋯⋯すごくわかる⋯」
「あれコヤマ田丸君派じゃなかったっけ」
「新しい可能性も悪くねぇな⋯」
あの鬼塚が、きっとほかの人なら手紙を貰っても中も見ずに破って捨てそうな鬼塚がもし佐々木君からなら素直に来てくれるとしたら⋯
「やばい私これだけで薄い本5冊は書けるわ」
「ダメだ。涙出てきた。」
「今日のあの一件はとてつもない可能性を秘めていたよね。あらゆる事が妄想できるようになった。」
「とりあえず呼び出し用の手紙書くけど、男子って便箋とか使うの?」
「ルーズリーフかノートちぎってが妥当じゃない?」
いい。とてもいい。この需要と供給の関係。腐女子である私たちが供給を作り出している。
「まず佐々木君宛ね。差出人は?」
「書かなくていいんじゃない?騙してる気がしてアレだし⋯」
「放課後、中庭の隅の物置小屋に⋯⋯来てください、と。」
結局、鬼塚宛のも書くことになった。差出人は佐々木君で、これはもう現場に現れただけでも鼻血モン。
「机の上に置けばいいかな?」
「いや、机か鞄の中にしよう。」
「おっけー。」
「ねぇ、今更だけど小屋の中はどうやって見んの?」
「え、私はそこら辺二人に任せて明日様子を伺おうと⋯」
「私はモブ子が監視カメラでも設置すんのかと思ってた。」
「草むらに隠れる程度でいいんじゃない?」
「音だけか⋯逆にイイ。」
そして私たちは、期待を胸に昼休みを終えた。
手紙をセッティングし、放課後、物置小屋の近くの草むらに3人で身を潜めその時を待った。
ヤマザキは期待と寒さで手が震え、コヤマはただ祈り、私は鼻血が出そうだった。
「あっ来た!!」
「まじ!?どこ!?」
「ほら、あそこ⋯」
先に姿を現したのは佐々木君。私たちが書いた手紙を不思議そうに見つめ、小屋を覗き込んだ。
「やっべ今改めて見ると佐々木君どちゃシコい」
「わかる」
「あんなフワッフワした男子見たことねぇよ⋯」
小屋と言っても、12畳くらいのサイズはあるし、あまり人も来ないからまさに最高の状況なはず。木に囲まれてるから雰囲気も十分だし、扉にもたれかかったホウキ、雨が滴ってできたシミ、フラグはもう既に立っている⋯
佐々木君が恐る恐る小屋に入っていくと同時に、人影が見えた。もしかして、と3人とも隠れていることを忘れ中腰でガン見している。
だけど、その影は私たちの想像していたものと違っていた。
「あれ?鬼塚じゃなくない?」
「ほんとだ。あれって⋯⋯」
私は予想外の人物に、ただただ唖然としていた。
それだけじゃない。
こっちを見て、ニコリとわらった。
「気づかれてない?」
「いや、そんなことないんじゃ⋯」
小屋に入っていく。
そして、その人物が扉を閉めた後、沈黙の中私たちは顔を見合わせるだけだった。
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