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どれくらいベッドの中に居ただろうか。
答えのないことを悶々と考え込んで、多分1時間は経ったと思う。
今日はもう早めに寝て、明日また考えよう。そう体に言い聞かせても全く言う通りにならず、頭も目もギンギンに覚めていた。
何をどうしても鬼塚のことを考えてしまう。そして、胸が痛くなって苦しくなって結局眠れない。これをずっとループしてる。
こんな時はお風呂に浸かって、汗を流して、心も体も温めて眠ろう。
自室を出て、リビングの電気がついているのを確認し洗面所へ向かう。寒いのでさっさと服を脱いで洗濯機に服を入れて、いざ風呂場の扉を開けた。
シャワーで掛け湯をして、湯船に浸かる。
ほわほわと入浴剤のいい匂いに包まれ、安堵のため息を着く。白く濁ったお湯はすべすべで心地が良く、うっかり眠ってしまいそうなほど。
ん?
あれ、ちょっと待て。
俺今日湯船にお湯溜めたっけ?
入浴剤も入れた覚えがないしなんか湯気もすごい。それに、気の所為だとは思うけどなんか、お湯の中、うっすら足が4本見えるような・・・
「おい」
真後ろからドスの効いた低い声。
まさかとは思うけど、まさか、まさかまさかちょっと待って、
「何してんの、お前。」
俺の真後ろで、浴槽に肘を置き、優雅に頬杖をつきながら俺を睨む鬼塚。
鬼塚・・・?
「な、なんでここにいるの・・・」
「こっちのセリフ。」
まじかよ。
「ごごごごごめんなさい今すぐ出ますほんと申し訳ない!!」
湯気で気づかなかったとはいえこれはまずい。なんせ鬼塚が扉側にもたれかかってるからめちゃくちゃ死角でほんとこれは事故なんでって言い訳してももう遅いか!!
慌てて立ち上がろうとする俺の肩を鷲掴み、あろう事か浴槽に引き戻す鬼塚。俺は訳が分からず「わっ!!」と情けない声を上げながらお湯の中で尻もちを着いた。
「あ、あああの鬼塚さんおれ、出たいんですが、」
「は?」
「いやあの、気付かずに入ってしまってほんと、申し訳なく思ってますので・・・」
どうか手を離してくださいと後に続けようとするが、どういう訳か一向に離す気配が無い。
「ねっ、ねぇ!ほんと、のぼせちゃうから・・・っ」
「今入ったばっかだろ。」
離すどころかずりずりと自分の方へ引き寄せようとする大きな手。ばくばくとうるさく鳴り続ける心臓はいつ破裂してもおかしくなくて、ましてや裸で触れ合うとかいう予想外の出来事に脳内は収拾がつず。
唯一の救いは、お互いの肌がクリアに映らないよう、お湯が白く濁っていることだけだった。
だってこんな、裸でこんな、密着するのなんてダメに決まってる。恥ずかしさで死にそうなのに鬼塚は更に俺の腰に手を回し、逃げられないようがっちりと俺の体をホールドする。
入って5分も経ってないのに身体中が熱くて死にそう。助けて誰か。
「・・・おっ、おにづか・・・っ、あの、」
ああ無理緊張で声出ない。恥ずかしすぎて死ぬ。さっき玄関でされたのも思い出しちゃうし肌と肌がぴっとりくっついて鬼塚の息がこんなに近くてもう訳が分からん。
どうしよう俺今絶対顔赤くなってるし心臓の音聞こえちゃうくらい密着してるしなんか頭ふらふらしてきた。ほんとに死んじゃうかも。
「・・・おに、づかぁ・・・っ!」
精一杯、名前を呼んで訴えようとするが、名前を呼んだ途端より力が強まった。
一方俺は、恥ずかしさと緊張で腕の中から抜け出そうにも力が入らず、背中に触れる濡れた素肌の感触にただただ混乱するだけだった。
「・・・顔、真っ赤。」
はは、と耳元で乾いた笑いが聞こえた。直後、うなじに何かが触れた。
ちゅ、と音を立てて離れたそれに、心臓が止まる。
「な、ん・・・っ」
何してるの、って聞こうにも声が上手く出ない。
うそ嘘ちょっと待って、って自分に言い聞かせるが、鬼塚は俺に理解する隙を与えてくれなかった。
「・・・まき、」
また、まただ。
愛おしそうに俺を呼ぶ。
さっき、玄関で突き放したばっかなのに、優しく触れてくる。
ちゅ、ちゅっ、と続けて鳴るリップ音は風呂場に反響し、その度肩やうなじに触れる柔らかな感触に、身体も脳も侵されていく。ぞくぞくと身体を突き抜ける快感は止むことはなく、吐息混じりのリップ音と共に、全身を襲ってくる。
「・・・ぁ、ん・・・ッ!」
脳が、心臓が、どろどろにとろけていく。
鬼塚、おにづか、と頭の中で何度も、意図せず呼んでしまう。
理解の追いつかない現状に情けない声しか出ず、俺はただ、腰に回った鬼塚の腕をぎゅっと、握ることしか出来なかった。
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