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さっさと部屋に帰ってテレビでも見よう。この時間面白いのないんだけどなぁー。
「あ、それと」
「なんでごさいましょうか」
「......お前さ、走るなよ。廊下。」
「......うっす」
机の上に足のっけるヤツに言われたくねぇよバカ。
じーさんばーさんにぶつかったら危ないだろってか?んなもん華麗に避けたるわ。アーホ。
あからさまに気力のない返事をしたら、不良さんはフンッて顔して去って行った。
部屋に戻ると、看護師さんとやけにぴっちりしたスーツを着てハンカチを目元に当てている女の人が居た。
なにやら暗い雰囲気なので入りたくなかったが、女の人が俺を見るやいなや抱きついてきたので悪い気はしなかった。
「佐々木くんっ!良かった、意識戻ったのね!!?先生の事わかる!?きみのっ、た、担任の......ッ、」
「......先生?」
ああそうか。先生まで心配して来てくれたのか。
話していたらまた涙が出てきたようで、言葉が詰まってあまり上手く話せていなかった。
こんなに泣いてくれる先生のことを、今の自分の記憶の片隅にも入っていないことが正直申し訳なかった。
「ささきくっ...本当に、ほんとに良かった。早く退院できるといいね。クラスの皆も、君のこと待ってる。」
「......はい。」
皆と言われましても思い出さない限り俺にとっては初めて見る顔なわけで、そんな初対面な他人ばかりのアウェイな教室の中に一人でどうしろと。
俺の担当医の話によると、記憶喪失というものは自力で思い出すしかないそうだ。
「些細な事で思い出すかもしれないから、友達とか親とか周りの人の力も必要なんだよ。」との事だそうで。
「あと三日ぐらいで退院出来ますので、そのときは温かく迎えてあげてください。友達と接していたらちょっとしたことで思い出すかもしれません。」
「はいっ!!佐々木くん、よかったね!あと三日だって!」
「...はい。」
聞こえてたっつーの。
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