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「...は?」て、「おはよう」の間違いじゃないのか。
相変わらず低い声。
男は俺と慎太郎の前に立ち、灰色のスウェット姿で片方の手は俺の皿から取り上げたサンドイッチを掴み、もう片方の手はポケットの中に。
「い、いつ帰ってきてたの?」
「夜。」
「...そっか」
うっわすっげ不機嫌そうなんだけどやっぱ勝手に泊めちゃダメだったかな...
ここで「それ俺のサンドイッチなんだけど返してくれる?」なんて言おうもんなら首根っこ捕まれ投げ飛ばされるに違いない。
ここは黙っとくべきか...いやでも俺の朝ごはん(自信作)だし...
「あっ」
「...何」
「あ、や、何でもないです」
お、俺のサンドイッチがスローモーションで奴の口の中に...
あ゛、朝ごはん食べないって言ったのにぃい...ッ!!
「ううっ...」
「まきちゃーんオレの食べていいから泣かないで!!」
「ありがとう慎太郎...」
「......で?」
「はい?」
「何でコイツがうちに居んの?」
「...と、泊まって、ました。」
「は?」
「あぁいやだから...」
うわぁぁあん怒ってるよぉ怖いよぉ目で殺しに来てるよおお!!慎太郎助け...
「まきちゃんの家なんだからまきちゃんが誰呼ぼうと泊まらせようと勝手なんじゃないのー?」
「......へ?」
えっ、慎太郎まさか君はこの状況で火に油を注ぐようなセリフを言うほど馬鹿じゃないよね?
「......。」
「あっ、えっ、ちょい待ち慎太郎、」
「出てけ。」
ですよね!そりゃ怒りますよね!!
「しんたろ!!とりあえず出よう!!な!?」
「えーなんで?まきちゃん別に悪くないじゃん。」
「いやいや、そりゃそうなんだけれども...」
あいつ怒らせると怖いからこの家から出て場を収めようってアイコンタクトが効かねぇええッ!!さすがバカ!!
「つーかさぁ、同居人居るのに見境なく女連れ込んで発情するよりマシじゃない?」
「......おい、今何つった?」
「慎太郎さん!!?あのっ、落ち着い...」
「ねぇ、一緒に住んでる意味無いでしょ?」
「......は?」
いみ、ない...?
確かに、言われてみればそうだ。
仲いいわけでもないし学校でも話さない、クラスも違うし第一こいつ俺のこと初対面で「キモい」とか言うし、家にもあんまり居ないし。
それなら何で一緒に住む必要がある?
俺がヤなら「出てけ」っていえばいいのに。
...あ、もしかして逆?
俺のこと嫌いすぎていじめたいから一緒に住んでるのか。
「まきちゃん」
「なっ、何?」
「ここに住みたい?」
「......え」
「こいつと、このままここに住んでいたい?」
「......そ、れは...」
実家に帰っても俺の居場所ないし、住むところがこの家しかないから住んでるってだけで。
こんな怖い人と二人で暮らしたいって聞かれたら、もちろん答えは「NO」だ。
「ねぇどうなの?こんなのと住んでて楽しい?」
楽しい...?楽しいわけない。
何考えてるかわかんないし暴力振るうし怖いし、最悪だ。
「俺は...出来れば、この家に...」
こんなのと一緒に...?バカ言え、一緒も何も家にいないじゃん。
ひとりは寂しい。夜は怖いし、「ただいま」って言う相手もいない。
俺が一番出ていきたいに決まってるだろ。
そう、思ってたのに
「......居たい、かも」
なぜか俺は、そう口走ってしまったんだ。
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