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走ると吐くので競歩で自販機へ向かう。太ももが鍛えられる。
えーと...慎太郎は、メロンソーダ?だったっけ。俺は何にしよっかなー
コーラとかおしることか、迷うけど結局はお茶に落ち着くという謎。俺だけ?
渡り廊下にある二つ並んだ自販機の横には、自転車置き場がある。蛍光色のピンクとか黄色とか、自転車って乗ってる人の性格とか表してると思うんだよね。うん。
このタイヤが小さいのとか、ハンドルの部分グリンッて反り返ってるじゃん。コケるわこんなん乗ったら。
変な自転車だなぁーって見てたら、番号のシールが貼ってあるのに気づいた。
「...1、2、01...?12月一日?誕生日かな...?」
なんだろ、1201って身に覚えのあるような数字だ。
何だっけ...?12月一日......思い出せないな。
すごく大事な数字だった気がするのに。
まぁいいやと諦め教室に戻ろうとした時、自転車置き場の端の方から男女の話し声が聞こえた。
「...ねぇ、もうすぐ授業なんだけど...」
「サボればいいじゃん。」
「えぇー」
なんだなんだイチャついてんのか...?学校だぞココ身をわきまえろリア充が。
どこのどいつか見てやろうか。
自転車に隠れながら近づくと、うっすら影だけが見えた。
「ね、今日はだめ?」
「...いいよ。早退する?」
「...ん。」
はぁぁー...。
いいなぁ彼女がいるって。仲良く早退とかしてみたいよ。
...教室帰ろう。見てても虚しくなるだけって早めに気づけばよかったな。
見つからないように一歩引き下がると、後ろに止めてあった自転車につまづき、
その拍子に駐輪場に止めてある自転車の約半分がドミノ倒しの様に倒れていった。
持っていたジュースがカップルの方へコロコロ転がってって、完全にバレたと思った瞬間、
男の方と目が合った。
「.........え、」
...最悪だ。
俺が今、一番見たくない顔。
男は、彼女の頭をふわりと撫でて微笑んだ。
「...先行ってろ。後で行くから」
そう言って女とわかれた後、男はコケて尻もちをつき動けなくなっている俺の所へ近付いてきた。
ジャリジャリとアスファルトと靴が擦れる音に混じって、大きなため息が聞こえた。
そいつは俺の目の前まで来ると、ポケットに手を突っ込み見下ろしながら一言。
「...何見てんの?」
冷たい目に低い声。
「......あ...」
黒髪に混じった金色の髪が、逆光でキラキラと光っている。
容赦なく心臓を突き刺すような、鋭い視線。
男は、俺の同居人だった。
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