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ヤツ 1
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あと1歩で眠れるところだったのに。って顔をしたら、目の前の色素の薄い頭が愉快そうにゆらゆら揺れた。
「まきまき眠いん?大丈夫?俺のことわかるー?」
「......乳首大好きな人。」
「あながち間違いではないけど!!変態みたいやんヤメテ!!」
うん。コイツが変態なのは確かなんだけど、慎太郎が警戒態勢に入っているのが謎だ。
座ってる俺に抱きつきながら、サンタをじっと睨んでる。
「...は?乳首大好きって何?ねぇまきちゃん」
「いやね、サンタこの前俺の家来て「おおぉーーっとぉお!?ちょ、まきまきこの話はやめておこう。な!?」
「ほぉぉーう。......まきちゃん家、行ったんか。」
「ちゃうねん!!ちゃう、まきまきじゃなくてもう1人の方に用事があってん!な!?」
「......。」
「で!用事はなんなんだよ。今度は誰に会いに来たんだ」
「今日はまきまきに会いに来た♡」
サンタがニマニマと笑いながら言うと、腰に回った慎太郎の腕にギュッと力が入る。
「......まきちゃーんコイツ殺していい?」
「もーぉいちいち怒らんといてぇな!!まきまきその番犬どうにかしてぇ」
.........。
「慎太郎。めッ!!」
「ワンっ♡」
「...ホンっマその変わりようどうにかしてくれん?」
「慎太郎が居るとサンタの焦る姿が見られるんだな。ふふふっ」
普段調子に乗っている奴が焦ると、案外面白い。
「......なにわろてんねん。」
「あ、いや、スマン。」
しまった、思わず笑ってしまった。
「...で、でもさ、サンタがワタワタしてんのって面白い...っ、ふふっ」
「へーぇふーんそーかそーか。いい性格してんなぁ自分。」
ピンッとおでこを弾かれた。けど、そんなに痛くはなかった。
サンタと会話すると、俺のうしろで慎太郎が不機嫌そうにブツブツと何かを言っている。
「あっ!そーそーまきまき、パスワード合ってたァ?」
調子を取り戻したかのように、ニヤニヤ笑ってしゃべり出すサンタ。
正直今日はその話題に触れて欲しくなかったので、わかりやすくスルーする。
「ホンマは合ってるかわからんかってんけどさぁー、その対応やと合ってたみたい?」
「...うっさい」
「ほんまわかりやすいよなぁ。何でも顔に出てんで?」
何故か、この話題に入った途端慎太郎が静かになった。
ま、サンタを穴が開くほど睨んでることには変わりないんだろうけど。
「1201...って、まきまき単純すぎひん?」
「は?意味わかんね。つか覚えてねぇし。」
「へぇーえ。」
「......何の、番号なんだよ。」
このセリフを、待ってましたと言わんばかりに、サンタは今日一番の笑顔を見せた。
「1201てな、りゅーくんの誕生日やねん。12月1日。覚えてるやろ?」
「...誕生日...?」
ひゅう...って、冷たい風が吹いた。
背後で、慎太郎の息が止まったのがわかる。
心に小さな針が刺さったような痛みが、じわじわと胸の奥に広がっていく。
...なにか、
思い出しそうで思い出せない。
喉の奥に、
異物が詰まったようで、吐き出せなくて
乾いた咳が2、3度出た。
慎太郎はそのまま立ち上がると、固く握った拳を振り上げ、黙ってサンタに殴りかかって行った。
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