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少し昔の夢を見た。
思い出とその時の感情を上手く編集して出来たような、俺にとっては嫌な夢。
神様は俺にどうしても消したい過去を思い出させたいのか。
思い返す度胸が痛くなって、行き場のないイライラとドキドキに振り回される毎日だった。
俺が記憶を消したくなるほど嫌な思い出。
それは、好きな人がいたこと。
いつもその人ばかり見て、その人がいる空間も時間も全てが愛おしくなるような、それほどお熱になるような相手がいたんだ。
伝えるつもりのなかった気持ちは、思わぬところで口に出た。
そして、勝手に想いが通じたと舞い上がって。
隣に歩いてる時は、手を繋いで欲しかった。
名前だって、一度も呼んでくれなかったね。
一日中帰ってこないのも、僕と違って狭い世界で生きていないから。
もっと一緒に居たかったな。
名前を呼んで、手を繋いで、体に触れて、
ご飯も一緒に食べれたならどんなに幸せだっただろうか。
叶わないことをズルズル引きずって、背中ばかり追いかけて。
どんなに悲しくても、僕にはそれを伝える勇気がないんだよ。
今日も君は知らないところで、
知らない人の名前を呼んで、
知らない人と手を繋いで、
知らない人と、身体を重ねる。
その度に僕は、
どんなに好きでも、同じ気持ちが向けられることはないんだと自覚する。
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