アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
5
-
「......―――き、」
ーピピピピッ、ピピピピッ
「まき」
「わアッ!?な、何、」
「鳴ってんぞ。体温計。」
「あ、」
いま、名前....
「熱は?」
「えと、ないです。36度ぴったり。」
うわわ、めっちゃ寝てたわ。座りながら寝たから肩が痛い...幸いにもヨダレは出てなかった。
目を擦って背伸びをすると、同時に授業が終わるチャイムが鳴った。
「教室...帰らないと...」
「あぁ。」
あれ?こいつサボリに来たんじゃなかったのか?ずっと俺のそばにいただけじゃん。
お、俺のそばに.....自分で言ってて恥ずかしいわ。
「ほら、帰んぞ。」
「え?あ、うん。」
声が優しい。
それだけなのになんか、胸の奥が擽られるみたいなこの感じ。
顔に熱が集中して、恥ずかしくなって下を向いた。
「あの.........ぉ、」
「あ?」
「おっ、鬼、塚は......その、」
初めて名前で呼んだ。
...から、驚いたかな。
「...心配、してくれてる....?」
言葉に出すだけでこんなに緊張するとかどんだけ意識してんだよって感じだけど。
実際、顔から火が出るくらいに恥ずかしいし自意識過剰みたいだし...
聞かなきゃ良かったなんて思いつつ、奴の顔を見たら、
「心配...?俺が?」
「う、ん。」
「バカじゃねぇのお前。」
ははって、笑い混じりに言うもんだから結構傷ついた。
「目の前で倒れられたりしたら目障りだろ。」
「......そっか。」
そうだな。確かに、目障りだ。
同居してるわけだし、その分迷惑かかるのかもしれない。
いや、そもそも俺の事なんてなんとも思ってないのかも。
保健室から出ていくのを急かされるみたいに、鍵を開ける音がした。
扉を少し開け、鬼塚は俺が出るのを待ってるんだろうな。
......でも、だめだ。
まだ一緒にいたい。
おかしいって分かってるけど
きっとこんなに一緒にられるのは今だけだから
あと、もう少しだけ。
扉まで駆け寄って、
部屋を出ようとする鬼塚の服の袖を、ぎゅっと掴んだ。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
76 / 219