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ゴミ出しに外に出ると、空は薄暗くてゴロゴロ鳴っていた。今にも雨が降りそうな天気。
雨が降ると傘が売れる。のはイイ事なんだけど、傘立てに置いといた傘が盗まれたって苦情が多くて困る。
...そんな中、店の裏側になにやら怪しい影が一つ。
「ほれほれどーしたん?こっちおいでー怖ないよー」
怪しい。怪しすぎる。
座り込んでブツブツなにか喋ってる。
「ほーれほーれ、おいちゃん怖ないよー?いいもんあげるからおいでて!」
「......にゃァ」
色素の薄い肌、髪の色、関西弁、どこからどう見てもアイツじゃないか。
はぁっと盛大にため息をついた後、その影に近寄る。
「おー!!まきまきやん!偶然やね♡」
「うん。偶然......なのか?」
「どう?俺の「雨の日に不良が猫に優しくすると惚れる少女漫画的作戦」は!!」
「偶然じゃねぇのかよ」
「うっへへー。」
見知った顔、というか見飽きた顔が一つ。
しかもお前不良じゃないし雨まだ降ってないからな。いろいろズレとる。
「なーんの幸せというプレゼントも運んでこないサンタさんではないですか。何しに来たんですかコラ」
「まきまきのさーぁバイトのねー?一緒にレジ打ってた女子高生おるやん?」
「うん。」
「その子に会いに来てんけどさ、やっぱ用事ないのにつきまとってたら変態みたいやん?やからぁまきまきに会いに来たっていう設定ー」
「......そうか。まぁ、頑張れよ。」
「うそうそうそやて!!ちゃんとまきまきに会いに来ました!!」
「いらん気遣いだ帰れ変態。」
「ヤダ冷たい!」
「あとその女子高生さ、店長に夢中だから口説くのは難しいと思う」
「店長!!ちょ、あかんで犯罪やで!!訴えないと!!」
「あぁ、そうだな。これ以上ストーカー兼変態を野放しにするわけには...」
「いやいや俺ちゃう!!俺のこと言うてへんわ!!」
「いいから帰れ!!どーせ脈無いんだから!」
早く店戻んないと俺が怒られる。
のに、一向に話が終わらない。それどころかさっきの猫を抱いて「俺の前の前の前の彼女に似てるーww」とか。知るかよ。
「あっ、そうやまきまきに言うことあんねんやった。」
「なに。」
「あのさぁ、今日りゅーくんが...」
サンタが口を開くのが見えた瞬間、上からダンボール箱のようなものがサンタと俺の間を遮った。
見上げると、にっこり笑った店長が。
「佐々木くん?まだ休憩じゃないよ?」
「あっ、すいません店長...」
「レジ、混んでるから入ってくれるかな?」
「わっ、わかりました。すぐ行きます。」
口元だけ笑って見せた店長は、おっきなダンボールを抱えて店に入ってった。
「......あれ店長?怖そうねぇ...」
「え?そう?あ、っと...すまんサンタ、俺もう戻んないと...」
「あー、うん。ほなね。」
ひらひらと猫の手を使ってバイバイするサンタを残して、俺は自分の仕事に戻った。
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