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「......帰んぞ。」
俺はがっかりしてんのか。
何とも言えない苦しさが、身体中を満たしていく。
じわじわ、溢れそうになる。
「ホラ、立て。」
「んっ...ぅ、」
辛そうに瞼を閉じる。立つのは無理か。
なら無理やり背負って帰るしかないな。
結局、傘は二つもいらなかった。
もっと、何か言葉をかけるべきなのに。
熱出してんのに傘も持たずに外に出て、
死にてぇのかよお前。
とか
勘違いすんな、俺は店長じゃねぇよ。
とか、
もっと、他に何か、
必死に俺を掴んでくるこの手に、応えられる言葉はないのか。
ぐったりした体にコートをかけて、背負った瞬間雨の冷たさが背中を凍らせた。
その後に伝わってくるのは、異常に高い体温。
荒い息。
苦しそうに唸りながら、また呼んだ。
「...ぅ、てんちょ...」
あほか。俺は店長じゃねぇ。
「...ごめ、なさ......ッ、」
謝る相手が違うだろ。
何ならここで降ろしてやろうか。
「......てん、ちょ......
......すき、です......っ、」
あぁ
早く、家に帰らないと。
汚い何かに、ずぶずぶと心が浸っていく。
滅茶苦茶にしたくなる。
この先に行きたくない。
誰か、俺を止めてくれ。
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