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結婚までの日々 15
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目を覚ますと、いつの間にか朝になっていた。
泣き疲れて、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
俺…昨日の夜、レノン王子に…
体が震えた。
自分の肩を抱き、震えを抑えた。
俺は怖かった。
レノン王子に襲われたことが。
そして、少しだけ、抵抗する必要を感じなかった自分が。
俺はレノン王子のことをどう思っているのだろうか?
まだ、昨日会ったばかりだ。
でも、俺のことを好きだというあの人のことを知ってしまった。
…俺、会ったばっかの人、好きになりかけてる…?
まあ、レノン王子と俺は結婚するのだから、俺がレノン王子を好きになったとしても何の問題はないのだが。
しかし、これが本当に恋へと向かっている感情なのかわからない。
婚約者だから、キスされたから、だから、レノン王子を好きになりかけていると思っているだけではないのか?
もし、そうだとしたら…
「俺、もしかして結構軽い奴…?」
自分でそう口にして、落ち込んでしまった。
コンコン
その時、寝室をノックする音が響いた。
「ルナ王子、おはようございます」
「ああ、おはようシーナ」
俺はシーナが中へ入ってくるのを待った。
しかし、シーナは部屋へ入ってこようとしない。
「シーナ? 入らないのか?」
「いえ、あの、レノン王子は…」
ああそうか、レノン王子が中にいると思って、入れないのか。
「レノン王子ならいらっしゃらないから、入って大丈夫だよ」
俺がそう言うと、一拍おいてシーナが飛び込んできた。
「え、もうレノン王子お帰りになられたのですか⁉︎」
「ああ、というか、昨日の夜にはもう帰ったというか…」
俺がそう言うと、シーナは肩を落とした。
「まあ…私、昨晩寝る前にルナ王子とレノン王子が結ばれたと嬉しく思っていましたのに…やはり、初日からは無理でしたのね…」
シーナは肩頬を手で包み、残念そうにため息をついた。
「あの、シーナ?」
「はい? あ、すみません、直ぐにお召替えいたしますね」
俺が呼びかけ、ようやくシーナがいつもの作業に戻った。
シーナはお湯につけたタオルで俺の体を拭き、綺麗なシャツを素早く着せていく。
「なあ、シーナ…」
「はい、何でしょうか?」
「シーナは、俺とレノン王子がその…早く両想いになることを望んでいるのか?」
「ええ…そうですね。私は、ルナ王子が幸せになることを望んでいるのですが、そのためにも、お二方が相思相愛になられることを望んでおります」
シーナはそういうと、微笑み、朝食の用意をしに寝室を出て行った。
一人になった寝室で、俺は考えた。
…俺、ユストリアのためだとかなんだとかばっかりを考えていたけど、ちゃんとレノン王子と向き合うことの方が大切なのかも…
そうだ。レノン王子は俺に好きだと言い、俺を知りたいと言ってくれた。
俺と向き合おうとしてくれていた。
だけど、俺は? レノン王子のこと、ちゃんと考えていたか?
俺は気づいた。
俺はもっと、レノン王子のことを知るべきだ、と。
そして、知った後に、レノン王子のことを好きになればいいのだ、と…
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