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結婚までの日々 18
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「あの、質問してもいいですか?」
「はい、勿論です」
俺は、ルファーンの話を聞いて抱いた疑問を尋ねることにした。
「レノン王子に、他にご兄弟は?」
「はい。第二王子と第三王子がいらっしゃいます。…我が国にも王女がいないのです」
そうか。そのせいで、俺とレノン王子が結婚するしかなかったのか。
「あの…ここで、たいへん重要なことをお伝えしなければならないのですが…その…」
どうしたのだろうか? ルファーンは言いづらそうに口ごもっている。
「私なら、今さら何を言われようが平気です。どうぞ、言ってください」
「…はい。
実は、このルナ王子のお部屋は城と一本の廊下とでつながってはいますが、西の離れになっています。そして、ルナ王子、あなたが王子であるということは限られた人間しか知りません。
ルナ王子、あなた様は、王女として我が国に迎えられたのです」
………は?
「え、それは流石に無理があるのでは…?」
「いいえ、あなた様が知らないだけであって、世間の者は皆、レノン王子と結婚するのはユストリア王国第七"王女"のルナ様であると思っています。
アストカルの民はもちろん、ユストリアの民もそう思っているのです。
…おかしいと思われたことはないですか?
自分だけが、他とは違うと…」
俺だけが、他とは違う…
俺は頭の中で、ユストリアでの日々を思い浮かべた。
…ああ、全ての合点がいったよ。
俺だけが、他の兄弟とは違った理由。
それは、ただレノン王子のもとに嫁ぐためだけではなく、俺自身の性別を偽る必要があったからなのだ。
思えば、俺が身につけたことはほとんどが王女としてのことだったし、俺の周りにはいつも人が少なかった。
限られたところにしか、いることや行くことができず、城の外に出れないのも自分が王子という立場だからだと思っていた。
兄弟ともあまり接する機会がなく、よく訪ねてくれた第四王子のアルセフとしか遊んだ記憶もない。
それもこれも、ただこの結婚のためだったのだ。
「…それで、ルナ王子がこの西の離れから出るときは、女の格好をしてもらうことになります」
「…はい?」
「城の中にはルナ王子が王子であることを知らない者が沢山います。この西の離れにいる者であれば、そのままでも構いませんが、この外に出るときは、必ずご自身が男であるということを隠してください」
そんな…
俺は、何も言葉が出てこなかった。
「で、でも昨日来た時、私は女の格好をせずにここまで来ました」
「フード付きのマントを羽織り、正門ではなく西の門から入ってきたことをお忘れですか?」
あ……
そうか。あれも、全て、このためだったのか…
俺はてっきり、護身のためだけだと思っていた。
そういえば、城の中を歩いた時も、出迎えた者たち以外とは誰とも会わなかった。
俺は、信じられないという思いでただ呆然と虚空を見つめた。
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