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「遥人のお祖父様も、知ったらきっと心配するだろうね」
「な……なんで」
「大丈夫、言ってない。心配させたくないだろう?」
髪の毛へそっと触れる指先。
そんな優しい所作とは裏腹に、次の瞬間強い力で大雅の腕から引き剥がされ――。
「……やっ」
「遥人、俺と行くよな」
柔らかく響く玲の声音に抗う術が全くない。
自分の秘密を握られていると暗に示されてしまった遥人は、頷くだけで精一杯の状況へと陥るが……せめてきちんと礼は告げたくて大雅の方へと顔を向けた。
「宮本さん、ごめん……ありがとう。俺、今泉さんと……帰るから」
「そうか、分かった。そうしたいならそれでいい」
それに答える大雅はやはり無表情だったけれど、
「まだ微熱があるみたいだから、ゆっくり休ませてやれ」
と、短く玲へと告げてくれる。
本当は……『助けて』と叫んで大雅に縋りたかった。
けれど、耳元で低く「分かってるよね」と囁く声に萎縮してしまい、遥人はただ玲の腕で震えるだけしかできなくなる。
「あれ?……気ぃ失ったみたいだ。ホント、遥人は弱いなぁ」
酸素が上手くとりこめず、薄れていく意識の中、玲の声が聞こえてきたのははっきりと覚えているが、
「――にしとけよ」
それに答えた大雅が何を言っていたのは聞き取れなかった。
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