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出会いは中学の一年の全国大会。
俺は小柄ながらも俊敏性を買われ
希望叶ってGKになれた。
本当は三年の先輩が出るはずだった大会だけど
その先輩が練習中に捻挫をし、その交代要員として
急遽俺が出場することになった。
最後の大会だったのに先輩は俺に任せたぞ、と
背中を押してくれた。
俺は、先輩に優勝旗を渡したい一心で
この大会に臨んでいた。
不戦敗等の運もあり
俺達の中学は辛くも、決勝まで勝ち上がった。
決勝戦。
相手は中高一貫のサッカーの名門で
目下、全国大会十二連覇中の常勝校。
こっちは優勝の経験もなければ
大会すら初めての無名校で。
下馬評では圧倒的向こうの優勢。
応援団だってこちらの即席のモノとは違い、
向こうは大規模の凄い応援で、気分だけでも
完全アウェーだった。
しかし始まってみれば、意外と
一点を争う展開となり、
向こうは後半になるにつれ控えの選手を
どんどん正規メンバーと入れ替えてきた。
曲りなりとも、決勝戦だというのに
どれだけ甘く見られていたんだ、と怒りが湧く。
その正規メンバーの相手にソイツがいた。
―――近衛 緑(コノエ リョク)
試合が始まる前、ここのFWの15番には
気を付けろと先輩からアドバイスを
貰っていた奴だった。
聞けば今大会の一番の注目株ルーキーらしく
しかも俺らと同学年ともなれば
こちらも俄然、力が入る。
昨日全試合のスコア確認したら一回戦から全て
ハットトリックしてやがった。
そこまでやれられれば、逆に
15番だけには絶対点数を入れられたくないって
思うさ、当然。
(……やっと出てきたな)
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