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出会い
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「ちょっと瑞希ー!あんたどうせ暇やろ?
コレお隣さん所にちゃっと持ってってー!」
ある日の夕方。
さっき学校から帰ってきて部屋で本読んでたら1階からオカンの声がする。
騒ぎなや…
しぶしぶ階段を降りて、リビングに向かう。
「勝手にひまとか決めつけんとって、」
「どーせゴロゴロしとったんちゃん?」
「んな事ないし。…で、なんの用て?」
「あ、そうそう」
イスの背もたれに掛けとった紙袋をガサガサと取ってきて、はいっと渡される。
「これな、酢豚。前好きや言うてたしお隣さんとこ持ってって欲しいねん」
「…なんで俺やねん、オカン行って来や…」
「おかーさんは忙しーの。行ってきてほら、
引っ越しの時かてイチゴのアイスもろたやろ」
ばしっと背なかを叩かれる。
…オカンめんどいだけやろ、すっぴんやし…
でもまぁ、そういえばえらい前にイチゴアイス貰ったしなぁ…隣やしええか、
「…行ってくるわ。」
「ん、ありがとう!」
二カッと見送られるまま家を出る。
…そういえばお隣さん、隣やのにまだ見たこと無いねんな…どんな人なんやろ。
…俺の周り最近マトモな人おらんしな……
想像を膨らませながらチャイムを押す。
すこしの間が空いた後、返事があった。
『…はい。』
「あ、隣の佐藤です…えと、おすそ分け持ってきたんすけど、いま時間いけます?」
『……ちょっと待ってて、すぐ行く。』
すぐ、と言った割には時間がかかって、
心配になった頃、ようやく扉が開いた。
「ごめんね、おまたせ。」
申し訳なさそうに笑うその人は、
甘く垂れた目、大きめの口、整えられた身なりが印象的で、良い人オーラがばしばし出てた。
「いえ全然…なんかあったんですか?」
「…あー……仕事の、電話がね。
折り返すって伝えたんだけど、時間かかっちゃった。」
忙しい人なんかな、どんな仕事してんねやろ…
「なんかすんません、お疲れさまです。
あ、コレおすそわけ…酢豚なんですけど」
「むしろ待たせて申し訳ないよ。
…え、酢豚?…やった、ありがとう。」
ポポッと開く花が見えて、嬉しそうですねって言ったら「ははっ、わかる?」と肩を竦めた。
「手間だし作ることはないんだけど、美味しいからさ。好きなんだ。」
…爽やかイケメン、眩しいなおい。
しかも、人懐こいみたいで親しみやすい。
見かけんから変に構えてたけど、普通にいい人そうやん?もっと早よ会いたかった。
警戒心がとけていく。
「…俺も好きなんすよ、すぶt」
「--瑞希君も好きなの?!」
めっちゃ食い気味やん…。
「あっ、ごめん!興奮しすぎちゃったね。」
「いや…、そんな好きなんすね…ハハ」
ーー引いてない、断じて引いてないで俺は。
「じゃあ忙しいとこスンマセンでした。」
「ううん、わざわざありがとう。」
ひらっと手を振られ、振り返し、
ニコニコ笑顔を向けられほほえみ返す。
……ん、良い人かな、やっぱ。
なんやベースは落ち着いてる大人やのに、
ふとワンコが垣間見えて、かなりツボ。
勿論、恋愛対象とかや無いけど。
…俺の周り、濃いの多かったしなぁ……
マトモな人とかほんまレアで…新鮮……
しみじみ思いながら、その日は別れた。
そういえばなんで俺の名前知ってんやろ、って疑問は「….オカンが喋ったんやろな。」と聞くまでもなく、解決した。
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