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悪魔のささやき
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キッチンで料理をする虎徹さんと龍さん。
虎徹さんにしがみつく僕。
そして、不敵な笑みでこちらを見つめる悪魔。
「ユキ、愛生をいじめるな。」
「ねぇ、テツ、龍。」
「聞いてるのか、ユキ。」
「孤児院の教えでさ、新しく来た子にも本当の家族だと思って愛しなさいって教えあったよな。」
ゆっくりと、低い声を響かせこちらに近づいてくる。
床がキシっと音をたてる。
「お前ら2人は新しく来たヤツにも優しく厳しく接してたよな。俺とは違って。」
「それがなんだよ。」
「2人からしたら出会ってすぐの子を愛するのも簡単だよなって。」
「おい、ユキ!!何が言いたいんだよ!!?」
龍さんの声を聞き、悪魔の動きがピタリと止まる。
僕の目の前で…。
「だからさ、君は特別じゃないんだよ。愛生くん。」
冷たい目で上から見下ろされ、身体中が震える。
虎徹さんにしがみつく手に力を入れようとしたが、
「ねぇ、君さ。特別だと思ってない人に抱きしめられたら嫌だと思わないの。」
その言葉が僕の胸に突き刺さる。
力を入れようとした手から思わず力を抜き離れる。
「……愛生?」
「…愛生くん」
「……ぁ、ちがっ、、」
特別だと思ったんだ。
けど、2人にとっては、
今までに何人もいた内の1人でしかない。
頬に冷たいものが伝っていく。
「アハハッ!君、泣いてんの?アハハ、アハハハハハ!!
あー、情けないガキだな」
部屋に響く悪魔の笑い声。
目から溢れ頬を伝う雫。
やっぱり僕の居場所なんて…
「ふざけるなっ!!!」
ボヤける視界の中で、悪魔を殴る正義の味方がいた。
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