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頼れる彼に。
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虎徹さんに殴られ倒れる幸彦さん。
目を見開き、頬を抑えている。
「…虎徹さ
「なんなんだ!!ユキは、いつもそうだ!!
俺らが頑張ってることをめちゃくちゃにして!!!
なにがしたいんだよ!!そんなに俺らのことが嫌いなのかよ!!」
僕の声を遮り、声を荒あげる虎徹さん。
床に倒れている幸彦さんに勢いよく掴みかかる。
「離せよ!!!」
幸彦さんが、虎徹さんの手を振り払う。
それでも虎徹さんはまた掴みかかる。
その手をまた幸彦さんが振り払う。
だんだん2人の争いはヒートアップしていく。
「俺らの兄貴なんていいながらユキはいつも邪魔ばっかしてきた!俺がどんだけ辛かったか!!」
「そんなの知らねぇよ!!」
「おい!虎徹も幸彦もやめろ!!」
龍さんの制止も聞かず2人は喧嘩を続ける。
僕は訳も分からず二人をただ見ることしか出来ない。
僕の目から溢れていた雫はきえていた。
けど、消えたと思っていた雫は虎徹さんの目から溢れていた。
「……虎徹さん!!」
僕はたまらず彼の背中に飛びついた。
いつもは頼もしく見える彼の背中は
今は、小さく寂しく見えた。
「…愛生?」
動きを止めた彼が震えた声で僕の名前を呼ぶ。
「うん。愛生だよ。」
自分の手で顔を押さえて、息を漏らす彼。
なんだか頼りない彼をぎゅっとぎゅっと抱きしめる。
僕が彼の温もりを感じるように、
彼が僕の温もりを感じてくれるように。
「ありがとう、虎徹さん。」
今は頼りない彼が、またいつもの頼りになる彼に戻ってくれるよう感謝の言葉と彼の名前を伝える。
「ごめんな、愛生。ごめんな……」
「虎徹さんが悪いことなんて何もないよ。」
何度も謝罪の言葉と僕の名前を零す彼の背中を
僕はただぎゅっとぎゅっと抱きしめた。
彼の涙が止まるまで。
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