アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
取引
-
ニヤリと笑った、お兄様が僕の服を捲り上げる。
じーっと見られたあと、体をうつ伏せにさせられた。
服を捲られただけで、お兄様は何もしてこない。
「…アザだらけだなぁ。 それに鞭の痕もあるじゃないか。御曹司様がそんな体でいいのかよ。しかも、ガリガリだし。」
小さな声でボソリとお兄様がいった。
さっきみたいに意地悪な感じではなかった。
頭上でカチャリと金属の音がした。
その後、口に入っていた布がとられた。
自由になった口で大きく深呼吸をする。
そっと体を起こして、お兄様の方を向いた。
お兄様は、真面目な顔でこっちを見ていた。
「取引しないか?」
さっきまでとの違いがすごくて僕は首を傾げる。
あんなに怖そうだった兄が、真面目にこちらを見ているのだ。訳が分からない。
「気が変わったんだ。勝手に、お前のことは悪ガキだと思ってたんだ。けど、実際違ったし。体も酷いもんだった。お父さんが言ってたこととは全然違って、正直驚いてるんだ。」
「…お父さんは僕のこと嫌ってるんです。だって僕、養子なんですよ。全く他人の僕より、愛してる人の子供のお兄様の方がきっと愛されてますよ。」
驚いた顔、というより同情を向けられた気がした。
お兄様は意外と人の心を考えてくれる人らしい。
「…俺のことは蒼士でいいから。 愛生はここから出たいんだろ?俺はここを継ぎたい。そこで、取引だ。俺は愛生がここから出るのに協力する。だから、この会社の跡継ぎの座を俺に譲ってくれ。」
「………出なくてもいいです。けど、1回、もう1回だけ会いたい人がいるんです。その人たちに会わせてくれるなら、…蒼士くんに跡継ぎの座を譲ります。」
元々、跡継ぎの座なんてもう僕のものじゃない。蒼士くんは知らされてないのだろうか。
本当は、ここを出て虎徹さん達と暮らしたかった。
けど、迷惑をかけるに決まってる。
だったら、あと1回、1回だけでいいから。
会って話しがしたい。
会って抱きしめて欲しい。
会って、会って……
「会いたい人がいるんです!!!取引します。 だから、
僕を虎徹さんに会わせて!!!」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
64 / 76