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40と監視役
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目が覚めたら、保健室に俺はいた。
でもそんな事よりも、全身の痛みに気を取られ、誰が俺をここに…とかそういうのは考えられなかった。
内出血が酷いのかもしれない…
キリッと痛むというよりも、体内が、なんか訳わかんないくらいに痛い。
主に腹辺りが。
そりゃあんだけ殴られたんだ…痛くて当然かもな。
「目が覚めましたか」
「……っ」
体は痛いんだけど、今保健室に居るという謎の安心感のせいで周りを見ていなかった。
急に横から声をかけられて息が止まりそうになる。
「監視役なので手は出しません」
「………っはぁ」
その声はロボットかのように感情は一切込められてなくて、本当に人間なのかどうか疑ってしまう。
顔は普通に格好良くて、背も高そうだ。座っててもわかる。眼鏡を掛けていて、以下にも優等生っぷりを表すような姿をしている。
これが噂の生徒会の人間か。
「俺、最近授業でてないんだけど…天罰とか喰らわない?」
ターゲットにはハンデとか聞くけど、ルールになってる『授業には出ろ』って、どこまでがセーフなのかわからない。
こんな散々な思いしてんのに天罰喰らったら笑い事になんねえよ。
しかも、こんなゲームを考え出す…『神様』に直接会うなんて、
殺されても可笑しくないだろ。
まだ人生諦められめえんだよ。
金子を消すまで絶対に。
「様子を見るのが私達の仕事なので、そこは私達の判断によります。今の青山さんは授業に出れそうにも無いので大丈夫です」
いや、大丈夫じゃないだろ。
何も写らない瞳が怖いけど、監視役と言われて安心する。
この学校、ターゲットになればどんだけ仲良く連んでた奴らさえ簡単に俺を裏切る。
仲間なんていなくなって、全員が敵となる。
でも、その中でも唯一自分に手を出さないのが生徒会の人で、ただ仕事を果たしてるだけなんだろうけど、それでも誰かが側に居てくれるのって…どこか落ち着く。
「…うぅ、痛い」
「全身痣だらけですからね。痛くて当然です」
気を緩めて増す痛みを堪える為に唇を思い切り噛みしめる。
痛いけど、その痛みに集中して腹の痛みを消したい。
ブチっと肉が切れた感触がして、口の中に鉄の味が広がる。
「はい」
「…?」
柔らかい何かが口元に当たり、目を開けば、生徒会…の人の顔が近くにありドキッとする。
いや、トゥンクじゃなくてビクってほうの。
「な、なに?」
「ガーゼです。散々傷付いてるのに自分で自分を傷付けるなんて弱い者がする事ですよ」
声に色は無いのに…
喋るアンドロイドと変わらないのに、
そんな、俺を気に掛けてくれるような言葉に照れ臭くなる。
「青山さんは強いんでしょう」
「強くなんか…」
ーーーない。
そう言おうとした途中にその男はバッと立ち上がり、『私は授業に戻ります』とだけ言い残し…去っていった。
でも、居なくなる前に、俺の頭をポンと撫でたのは…どういう意味なんだ?
それは、監視役としての仕事の内に入るのか…
でも、その手が暖かく感じたのは、気のせいじゃなかった。
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