アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
40と5
-
しばらくして、誰かが保健室に入ってきた気配がした。カーテンが閉まってるから誰が何の用でここに来たのかわかんない。
わかんないから、こんなにも怖い。
足音が確かにこちらへ向かってきてる。
具合悪い人だったらいいなって…
それとも保健室の先生?
今月はうちのクラスに先生は参加してないから…大丈夫だ。
でも、ここの先生って確か女性だった。
この重みを感じ取れる足音は男性の物だ。
誰…
この状態で犯されたりでもしたら死ねる自信がある。
他のクラスの人でありますように。
そう願う前にパッとカーテンが開き、そこに見えた意外な人物に目を見開く。
「福井…」
それは…
俺が一番会いたくない人だったから。
無言でカーテンの中に入ってきて、パイプ椅子に腰を下ろす。
俺の顔を覗き込むようにジッと見られて落ち着かない。
「……なに」
久しぶりに交わした会話。
まだ、会話にすらなってないけど。
福井とは、中学からの付き合いで、クラスも部活も一緒だったため親友らしき仲になっていた。
同じ高校に入り、可笑しなルール上だが、それでも今まで上手くやってきた。
『今まで』は。
俺がターゲットになり、どうしても知られたくなかった。
こいつだけには、どうしても、惨めで汚い俺を見てもらいたくなかった。
だからなんだろう、俺が金子に逆らえないのって。
福井とは、ずっと友達でいたいから。
でも、そんなの直ぐに壊れた。
あの日、俺が彼に救いを求めた時…
福井は、俺が見た事もないような冷めた目で虫ケラを蔑むように見降ろしていたから。
まるで、『汚い』そう言われているようで。
1ヶ月我慢すればいいのに、一ヶ月の内、俺の何もかもが壊れていく。
まだ一週間しか経ってないのに、俺の中に残ってるのはみんなへの怒りと恨みだけだ。
親友なんて、もうどこにもいない。
「体、痛い?」
「当たり前じゃん」
怖い。
誰も信用できないから怖い。
親友なんて、もうどこにもいなくて、ここに居るのは貴族だけだから。
貴族とターゲットだから。
「だから、王になってバカしない方がいいって言ったのに…」
「は?」
なんだよ、それ。
ここに来て説教?
『バチがあたったんだよ』ってか?
こんな目に合ってる俺をバカにしてるのか…?
「もうなにも言わないで」
「青山?」
「無理、話無理。授業に戻れよ」
「なんだよ…それ」
「ああ…貴族に逆らえないんだった。ごめんなさい福井さん。でも俺、体マジでしんどいんで」
ここに居るのは、親友じゃなくて貴族だ。
そう何度も自分に言い聞かせないと、
どこかで『助け出してもらいたい』なんて女々しい事を考えてしまう自分が出てきそうだから。
そんな弱い自分、こんなクソみたいな人間共に見せたくなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 21