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結局、図書館まで来てしまった。
二人して、お気に入りのソファに腰を下ろす。
制服の上着を脱ぐと、背もたれに体重をかけるように座った。
慧悟さんもスーツのジャケットを脱いで、ネクタイを緩めている。
疲れた。
体育の時間でも、あんなに走ったことはない。
ぼうっとしていると、アイスミルクティーのペットボトルが差し出された。
来る途中のコンビニで買ってもらったものだ。
「ありがとう」
ペットボトルを受けとると、頬に押し当てた。冷たくて気持ちいい。
図書館での飲食は禁止されているけど、平日の夕方はいちだんと人気がないので、気にせずアイスミルクティーで喉を潤した。
一気に半分近く飲んでしまった。思った以上に、喉が渇いていたみたいだ。
慧悟さんは一気飲みの勢いで、アイスカフェオレを飲み干した。
まだ飲み足りないのか、ボクのほうをじっと見ている。
「しょうがないな。一口だけだよ」
渋々のように言うけど、気持ちは裏腹だ。
間接キスになると気づいて、口元が綻んでしまいそうなるのをなんとか堪える。
慧悟さんは、ボクのアイスミルクティーをおいしそうに飲んだ。
ペットボトルの中身は勢いよく慧悟さんの喉に流し込まれた。まだ半分くらいあったのに、あっと言う間になくなった。
「もうちょっと飲みたかったのに……」
恨めしそうに言うと、
「ごめん、ごめん」
慧悟さんはペロッと舌を出す。
軽い言い方に、イラっとした。その瞬間、ボクにスイッチが入る。
「おじさんが可愛い子ぶっても、全然可愛くないんだからね」
「ひどっ! 拓海くん、おじさんは酷くないか?」
「慧悟さんなんて、おじさんで十分だよ!」
「拓海くん、機嫌直してよ。新しいの、買ってあげるから……このとおり!」
顔の前で手を合わせて、お願いされた。
「あげる」というのは気に入らないけど、許すことにする。
だけど、それには1つ条件がある。
「分かった。……ボクの言うコト、何でも聞く?」
「うん。聞く! 聞く!」
「じゃあ、どうして美華子さんとお見合いするコトになったのか、ちゃんと話して!」
「……」
慧悟さんは、何度か口を開いたり、閉じたりをくり返す。
なかなか思いきれないのか。それとも、考えをまとめようとしているのだろうか。
その僅かな沈黙が、ボクを不安な気持ちにさせた。
慧悟さんはようやく心を決めると、お見合いすることになったいきさつを話し出した。
そして、ボクが聞きたくても聞けなかったことまで、すべてを包み隠さず教えてくれた。
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