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3学期になると英会話部の部活は週に1回くらいしかないので、学校の帰りに拓海の家に寄ることが多くなった。
宿題が終わった後、いつものようにおやつのスナック菓子を食べながら知紀とおしゃべりをしていた。
でも、ここに知紀の姿はない。
そのせいか、話題は知紀のことになる。
バレンタインデーの後、いっしょにいる時間が極端に少なくなった。
彼女といっしょにいたい気持ちは分からなくもないけど、親友のボクらよりも彼女を優先するのは、やっぱり裏切りでしかなかった。
「知紀のヤツ!」
「知紀くんのくせに!」
知紀に対する不満が2人の口から漏れる。
まったく同じタイミングだったことがおかしくて、ボクらは笑い転げた。
だからと言って、知紀が嫌いになった訳じゃない。
いっしょにいるのが当たり前すぎて、知紀がいないことに対する淋しさが不満となって溜まっていったんだと思う。
それに、知紀は初恋の男の子のことが忘れられないと思っていた。
いくら告白されたからといって、そんなに簡単に気持ちが切り替えられるのだろうか?
ボクには出来ない。
たとえ雅樹さんに振られたとしても、きっといつまでも引きずってしまうだろう。
忘れるなんて、絶対に出来ないと思う。
「なあ、もし、お前が楠見先生に振られたとして、……先生のこと、簡単に忘れられると思うか?」
ボクは疑問を言葉にしていた。
「絶対に無理。忘れられないと思う!」
拓海は即答した。
「だよな」
「ユウくんもそう思う?」
「うん。ボクも絶対に嫌だ。雅樹さんのこと、忘れるなんて!」
「ユウくん……」
ボクが熱くなったから、拓海が驚いた顔をした。
だけど、すぐにやさしい笑顔になって、ボクを落ち着かせるように背中をポンポンと叩いてくれ
た。
「ボクとユウくんは、やっぱり一途だよ。知紀くんと違って……」
拓海は可愛い顔に似合わず、意外と厳しい。
「可愛い顔して、言うよな」
「そう? ボクたちより、彼女を優先させるヤツが悪いと思うけど」
「知紀のヤツ、すぐに森永と別れるんじゃないか?」
「そうだよ。知紀くんなんか、すぐに振られちゃうよ!」
その後も、いないヤツの悪口を言い続けて、ボクらは笑い合った。
だけど、予想に反して2人のつき合いは続いていった。
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