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<家庭訪問>
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ホームルームの時間に、お知らせのプリントが配られた。
「再来週の月曜日から家庭訪問が始まります。今週中にはお父さんかお母さんに予定を書いてもらって提出するように」
楠見先生の言葉を聞くまで、家庭訪問があるなんてすっかり忘れていた。
もらったプリントには、下の部分に希望日時を書く欄があり、点線のところで切り離すようになっている。
どうしよう、楠見先生がボクの家に来る!
「どうしよう……」
ボクは自分の部屋に入るなり、溺れそうになった人みたいに何度も深呼吸した。
呼吸するのを忘れていたらしい。もう少しで酸欠になりそうだった。
ボクは、親友2人に助けを求めた。
「ユウくん、知紀くん、どうしよう……先生が家に来ちゃうよ!」
「家庭訪問なんだから、そりゃ来るだろ」
知紀くんに呆れられる。
「そうだけど……ボク、ボク、どうしたらいい?」
「拓海、落ち着け! 落ち着け!」
ボクがめすらしくパニックになったから、知紀くんが慌てる。
自分でも驚きだ。もっと冷静な人間だと思っていたけど、こんなんで、ちゃんとしたお医者さんになれるんだろうか? 将来が思いやられる。
「落ち着いて、大丈夫だよ」
ユウくんが背中をポンポンって叩いて、ボクを落ち着かせようとしてくれる。
やさしい。
「好きな人なのに、……自分の家に来てほしくいって、どういうことなんだろう?」
自分の感情だと言うのに、複雑すぎて理解に苦しむ。
親にプリントを見せないで済ませる方法はないかと考えたけど、そんなことしても、親に直接連絡がいくだけだ。
「変に意識しなければ、大丈夫じゃないかな? ……そうだ、先生との会話をいろいろ想定しておくのはどう?」
ユウくん、グッジョブだよ!
とにかく、変な態度だけはとらないようにしなければ。
ユウくんのナイスアイデアで、家庭訪問は何とか乗り切れそうだ。
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