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今はそんなに
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好きな人が、好きだった人に変わる瞬間を俺は何度も経験してる。
「やっぱさ、女の子は胸だよな」
いつから、こいつはこんな話をするようになったんだ。
「世の中金だろ?」
いつからこんなに金の亡者になったんだ?
「お前、もっと遊べよ、若いうちにさ」
うるさい。
「俺、お前が俺のこと好きなの知ってるよ」
お前のそういうところが好きだったんだよ。
「お前、俺にばっかり構うんもんな」
お前のことが好きだったからだよ。
「一回だけ。一回だけ寝ただろ?それをまだ根に持ってるのか?」
俺は本気だったんだ。
「あんなの酒の勢いだよ」
お前にとってはそんなこと。
「だから、お前、俺のことはもう忘れろよ」
忘れるも何も無い。
「さっきからさ……」
「あ?」
「何勘違いしてるかわからないけど、俺、お前のこと好きじゃないからね」
「は?」
「根に持ってるのも、俺のこと好きなのもお前だろ?」
「何言ってんだよ……」
「俺は、お前のこと、好きだった、んだよ」
過去のことだ。
「寝たのもあれきりだ。何なら、忘れてもらっていい」
「は?」
「だから、お前のことはただの友達だよ。それ以上でもそれ以下でもない」
お前に俺は捨てさせない。
「今はそんなにお前に構ってないだろ?」
「……」
「今日は、別れを言いに来た」
「……」
「もう会うことはないだろうな」
じゃあな。
好きだった、人。
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