アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
厄介。 *光汰side*
-
調子の悪い俺を気遣ったのか先輩には行くついでに休憩してこいと言われたが、なるべく早く戻ろうと急いで教室に入った。
ロッカーの上に目当てのものを見つけほっとした俺は、少し歩いて乱れた息を整えながらボトルに手を伸ばした。
「あれ、大宮じゃん。やっほー」
「ッ、!?」
突然聞こえた声に驚き、はっと振り返る。
誰もいないと思っていたはずの教室にはなぜか坂口がいて、中央の席で足を組みこちらをじっと眺めていた。
「坂口……驚かすなよ。全然気配なかったぞ」
「気配…そりゃ、息を切らして走ってきた大宮とじっと座ってただけの俺じゃ、気配に差があるなんて当然だろ」
「あぁ……まあ、確かに…。てか、なんでこんな所にいるんだよ。この空き教室、今日はバスケ部のミーティングでしか使ってないはずだろ?忘れ物…じゃ、なさそうだしな」
「あー、もしかして使っちゃだめだったか。悪いな、さっきちょうど終わったところでさ」
「いや、そんなことないけど…何のことだ」
「恋・愛・相・談❤」
「あっそ」
「えぇ~…相変わらず冷たいのな……。本当、杉野といる時とは大違いだな」
そう言って愉快そうにケラケラ笑う坂口を無視して、目の前のボトルを手に取る。
そのまま帰ろうとすると、立ち上がった坂口がそれを制した。
「…何のつもりだ」
「まあまあ、そう殺気立つなって。そんなに急いで戻る必要もないだろ?」
「は……どうしてそれを知ってる」
俺の問いに坂口は答えず、ただ無言のまま笑みを深めるだけだった。
どこまで知られているのか分からない感覚に、相変わらずどこまでも食えないやつだと言いようのない気味の悪さを感じていると、坂口はふと真面目な声音になって言った。
「お前に聞きたいことがある。少し気になることもあるし、な」
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
48 / 82