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苦い思い出。
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光汰に拒絶されてから、1週間が経った。
あれからというもの、冷静になった俺はなんとか光汰に謝ろうと隣の教室へ幾度も足を運んだ。
でもいざ扉を開けようとすると光汰に言われたあの”醜い”という言葉が頭をよぎり、踏み出す勇気が出ない。
もちろん、あの言葉は直接俺に対して向けられたものではないことくらい分かってる。
分かってはいる…けど。
”今度は俺が言われるかもしれない”
そんなはずないと信じたい。
仮にも幼馴染…今までだって、ケンカを全くしてこなかった訳ではない。
でも…
光汰は、もう俺なんかとは話もしたくないんじゃないか。
そんな思いがどこからともなく沸いてきて、俺の足を止める。
それに…
「………。」
俺は思わず俯いてしまう。
…この状況は、あの時とよく似ている。
光汰がうちに忘れていったものを届けようと、隣のクラスを覗いた時。
俺はもう、小学生の時とは違う…数は少ないけど友達もできたし、きっと大丈夫なはずだ。
でも、果たして。
果たして、本当に…”あの時”のように他の友達と楽しそうに笑っている光汰の姿を見ても。
俺は、嫉妬せずにいられるのだろうか。
もう……あんな自分は見たくないのに。
「………………戻ろ。」
俺はゆっくりと扉に背を向けると、鬱々とした気分で自分のクラスへ戻っていった。
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