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後日譚の隣。2
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「それじゃ…行ってきます」
「はーい、行ってらっしゃい。薫子ちゃんによろしく言っておいて~」
30分後。
出かける準備を一通り終え、さて後は靴を履くだけだ、と向きの揃えられたローファーに足を入れながら声をかける。
寝坊した~と今朝は家の中をせわしなく動き回っていた母だったが、どうやら今はリビングにいるようで姿は見えないものの元気な返事が返ってくる。
苦笑しつつ母に聞こえるよう心持ち大きく答えると、俺は家を出た。
「っうわ、まぶし」
ほんの半刻ぶりに見た太陽は、風が弱いことも手伝ってか余計に輝きを増して俺の肌をじりじりと焼いているように感じる。
朝でこれなら昼になる頃にはもっとすごいことになってそうだな、と若干辟易しながら、道路の対岸にあるモノクロに統一された外観の家を目指して歩く。
インターホンの前まで来て、ふと先程の母の言葉を思い出す。
「”薫子ちゃんによろしく”ってことは、今日はそうか…いるのか……」
なんとも言えない微妙な気持ちになりながらも、意を決してボタンを押す。
ドアの向こうから漏れ聞こえてくる来客を知らせるメロディーと、同時に近付いてくる足音。
俺はこの後襲い来るであろう衝撃に備えるべく、スクールバッグを抱き締め身を固くした。
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