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後日譚の隣。3
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「は、る、ちゃ~~~~んっ!!」
…いくら準備をしていたとはいえ、大の大人が一切の手加減なく、身長なし&筋肉なしの未熟な高校生男子(自分で言っていて虚しくなってきた)に飛び掛かってきたのでは、多少なりともぐらついてしまうのは仕方がないだろう。
むしろそれだけで済んでいるのは、ひとえに何年も積んできた豊富な経験のおかげだ。
ここに通い始めて数年、あいつが引っ越して来た小学生の頃から高校一年生の現在に至るまで。
ほぼ毎朝この特攻を受け続けている俺は、初めこそ抱き上げられては好き勝手されてきたが、今では抱きしめられて頬ずりされるだけで終了だ。
客観的に見れば今も昔もそう変わらないと感じるかもしれないが、当事者的にはこれでも軽くなった方なのだ。…正直、そう思わないとやってられない。
「ん〜〜〜〜〜♡今日もお肌すべすべで女の子みた〜い、実は女の子なんじゃない?」
「男です…。あの、そろそろ離してもらえませんか、“薫子さん”……」
弾丸…もとい薫子さんはどうしよっかな〜、と言いつつも腕を離す気はさらさらないようで、変わらず俺の体をがっちりホールドしている。
一体この細い腕のどこからそんな力が出てくるんだと叫びたくなるが、心底楽しそうな様子に脱力してしまった。
大宮薫子さん。金髪ショートカットのよく似合うスレンダー美人。さすが親子と言うべきか、あいつの美形DNAはどうやらこの人から来ているらしい。
そしておそらく…というか絶対、あの駄犬の突進好き(?)遺伝子も薫子さんが原因に違いない。
あれは俺が初めてこの家に遊びに来た時のこと。
その時はまだ普通にドアを開けた薫子さんに、俺は若干緊張しながらはじめましての挨拶をした。
幼心にも金髪は怖い人だというイメージがあったため内心泣きそうだったが、ちゃんと噛まずに挨拶できたという安心感で俺の顔にははにかみ程度の微笑みが浮かんでいた。
うん少し。ほんの少しの笑顔だった。
頭の遥か上から微かに某有名アニメ映画の黒いアイツじみたァ…ァア……という呻き声が聞こえ、それを不思議に思った俺は薫子さんの顔をそっと伺う。
その一連の動作を薫子さんがどう捉えたのかなんて知る由もなく。
数秒の心配の後、幼い俺の気遣う心は一瞬で恐怖に変わった。
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