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素直。
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光汰が飼い主に怒られた犬のようにとぼとぼ自分のクラスに帰って行くのを見届けると、俺はため息を一つ吐いて自分の席に戻った。
イスを引いて座ると同時に前に座っていた坂口がくるりとこちらを向いてきた。
「…なんだよ。その気持ち悪い笑い方やめろ。ニタニタすんな」
「ははっ。いやいや、これが俺のノーマルだろ?入学した時からさ。まあ、お前も変わってないみたいだけどな」
「…これでも素直になろうと努力はしてるんだよ」
「うーん、俺に対しては多少柔らかくなったけどな。大宮に対しては、まだ駄目か」
「うん……」
「そっか…。ま、いつかなれるといいな。お前の言う素直。頑張れよ」
「わっ……あ、りがと」
「ん。」
俺の頭をぽんぽんと優しく撫でると、坂口は再びくるりと前を向いた。
それとほぼ同時に教師が入ってくると、一瞬の静寂のあと、それぞれが自分の席に戻るガタガタというイスの音が教室内を埋め尽くす。
俺はそっと二度目のため息を吐いて教師の言う今日の連絡事項に耳を傾けた。
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